九校戦編〈下〉
九校戦九日目(7)×無頭竜幹部&ジェネレーター捕獲からのガサ入れ
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響子が運転する電動車は、俺達がよく乗る車であり交通管制システムに誘導などはしていない。真夜中になる時間にて、横浜市内へと入ってから幸典らと別れた俺達だった。東に横浜港、北に二十一世紀末の現在でも繁盛を続けている横浜中華街を臨む高台に、二人を乗せた車が停止した。
「度重なる日中直接軍事衝突が何度もあったと聞いてはいたが、まさか現在でも繁盛している横浜中華街を見るとは思わなかった」
「・・・・敵国の工作員がウジャウジャいるって分かってるのに閉鎖も検問もしないなんて、政治家は一体何を考えているのかしら」
「あの街は本国の圧政から逃れた華僑の、本国に対する主要抵抗拠点の一つだと言うのが建前であり、わざと泳がせてますからね」
「そんなの嘘だと分かっていても、それが織斑少将がそう言うのならあくまで建前だと仰りたいのね」
「限度というのがあるかもしれんが、日本が勝ったとしても講和条約が締結させてない以上、日本と大亜連合は三年前から休戦状態と化している。法的には交戦関係が継続中ですが、工作活動の拠点だと言ってもいずれメスを入れますのが今ではない。こちら織斑だが、そちらは到着したか?」
『こちら捕獲部隊本部、現在ホテル付近に到着しましたのでそちらも作業を開始して下さい』
俺と響子は了解とだけ言っといて、通信機をはめたまま横浜ベイヒルズタワーに向かうので追うかのようについて行く響子だった。この都市で最も高い建造物で、今世紀半ばまで『港の見える丘公園』と呼ばれていたこの場所には、現在では横浜港とその沖合を一望出来る三棟一体の超高層ビルが建てられている。
市民からはベイヒルズの略称で親しまれているが、ホテル、ショッピングモール、民間オフィス、テレビ局の複合施設である。魔法師の親睦団体である日本魔法協会関東支部も、東京ではなくこのビルに置かれている。本部は京都にあるが、このビルは純粋に民間施設というのが建前に過ぎない。
ここには東京湾を出入りする船舶を監視する目的で、国防海軍と海上警察が民間会社に偽装したオフィスを置いている。魔法協会支部がこのビルに置かれているのも、有事の際の防衛手段というのがもっぱらの噂とされている。俺も響子も、噂ではなく事実だと言う事は蒼い翼やCBでも知っている事だ。
「響子、そろそろやってもらおうか」
「了解。ホントはフェルトらがやるはずだけど、それだと私の出番が無くなるからとても感謝しているわよ一真さん」
時刻は真夜中で、警備員がいる通用口ではなく内側からしか開かない非常口の脇に、響子は小型の情報端末を押し付けた。片方の手でデバイスを操作すると、外部からの入力端子もなく無線入力機能もないはずの開閉装置が導電率の分布を改変された壁面を通して送り込まれたハッキングプログラムによって、二人を出
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