暁 〜小説投稿サイト〜
Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#24 六神将・鮮血のアッシュ
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
「そーいや……お前… 俺と同じで記憶喪失なのに。……その、あーいう事見て……、なんとも思わないのか?」

 ルークは、渋々ここで待つ事を決めた後、聞きたかった事をアルに訊いていた。アルは、突然ルークの表情が暗く沈んでいるのを見て驚いてはいたが。

(そっか……、そうだよね。ルークは公爵の息子って言ってたし……、戦いだって、無い筈。……オレはアクゼリュスの件があったから)

 アルは理解しつつ、ルークの方を見て話す。

「さっきの事……だね」

 アルの言葉に、ルークは返事をせずただ顔を背けた。

「オレはさ……、オレの大切な人達が、暮らしている町がモンスターに襲われた時に、ちょっとあってね。 ……その時は、幸い死者は出てなかったけど、 重傷者は何人も出てたんだ。沢山、血だって流れていた。 ……それで、あまり動じなくなったのかもしれない、かな? ……でも、オレも人が人を刺すところなんて見たのは初めてだよ。ルーク。」
「ならなんで 平気な顔してんだよ! アルといいティアといい!!」

 ルークは、アルの言葉を訊いて思わずそう言っていた。まるで動じずにここまで着ていたのだから。あの後も、決して多くはなかったけれど、それなりに戦いはあった。でも、全く変わらなかったのだ。また、刺してしまうかもしれない、と全く考えていない様だったから。

「人を……、刺したんだぞ…… 相手は、魔物じゃない…… 人なんだ……」

 ルークは僅かながらに震えていた。それを訊いたアルは。

「……彼らだって、……好きで人を殺している訳じゃないと思うんだ。 ……だって、そうしないと これからもっと人の命が失われるんだから。 オレは目の前で見た。ただ……、鉱山でいつも通り仕事をしているだけの人たちを、理不尽に蹂躙するかの様に襲う魔物たちを……、アレだって、人と魔物の戦争みたいなものだ。……人と人の戦争が起これば、人が人を殺す、もっと悪化すれば、 戦士じゃない平和に暮らしていた街が戦場になるかもしれない……んだ」

 そう、それは国境付近の町 アクゼリュスでも起こりえる事だ。いや、寧ろ国境だからこそ その可能性は高いだろう。障気の問題は置いといたとしても。

「オレは、そんなのは嫌なんだ……。笑顔で暮らしていたのに、毎日、頑張ってきたのに。……そんな事になるのは」

 そう言うと、アルは俯いていた。

「………」

 ルークは、それ以上何も言い返す事はせず、ただ黙ってアルの話しを聞いていた。



 そんな時だった。


『う………うぅ…………。』


 甲板に、声が聞えてきたのだ。今にも、消え入りそうな……そんな呻き声が、


「っっ!! ルークっ! 向こうだ!」


 戦闘も起こらず、静かな場所だった
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ