夏休み編
Episode39:暗殺者の夏休み〜前編〜
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「そうだ。取り敢えず、そこに座って」
指差された木製の丸椅子に腰を掛ける。ギシリ、と音を立てたことに強度面の不安を覚えたけど、まあ大丈夫だろう。
「さて、単刀直入に言うよ。隼人、君に政府から特務が下った」
「特務、って、父さんがいつも受けてるあれのこと?」
特殊任務。九十九櫂と九十九セラにのみ課せられる日本政府からの任務のことだ。その任務内容は暗殺から交渉など幅広く、主に対外関連のものが多い、らしい。というのも、この特務の秘匿性は最高度に位置している。俺がこの情報を知っているのは、父さんが『ついうっかり』口を滑らせることが多いからに過ぎない。
しかし何故、一介の高校生????というには語弊があるが????に特務などが下るのだろうか。
「そうだ。隼人には、これからアメリカに飛んでもらって、現地の部隊と合流し、ある組織を潰して欲しい」
「アメリカに、俺が…?」
アメリカ。正確に言うならば、北アメリカ大陸合衆国。先の第三次世界大戦で成立した国家だ。
日本とは表面上は同盟国だが、魔法技術に関しては競合国として優劣を争いあっている。
「これは日米合同任務らしくてな。日本の誇る暗殺者をこちらに寄越せってアメリカが言ってきたみたいで、いつも政府に媚び売ってる九十九にお鉢が回ってきてしまったというわけだ。ちなみに俺とセラは明日から別任務だから出れない。スバルは防衛大学で研修があるから無理。あとは、分かるよな?」
はっはっはっ、なんて笑う父親。いきなりの大役に、胃がキリキリと痛みだした。
「ちなみに、日本の九十九という手札を一枚見せるということで、アメリカの魔法師の手札も一枚見せてくれるそうだ。恐らく、そいつとコンビを組んで任務に当たることになると思う」
「アメリカの魔法師かぁ……ところで、敵対組織って?」
「人間主義組織『レジストリエル』?????最近、アメリカ国内で勢力を伸ばしてきている過激派組織だよ」
「人間主義????つまりは非魔法組織ってことか……なら、重火器への対応も考えないと」
「なんだかんだ言って乗り切りじゃないか」
「諦めも大切なんだって学んだからさ」
ここまで外堀を埋められては、今更俺が何を言ったってこの事実は覆ることはない。だから俺の精神衛生上、素早く諦めて吹っ切ることが大事なのだ。
「ところで、その任務っていつから??????」
「明日」
☆★☆★
「……どうして、ウチの人達はもっと早く予定を教えてくれないんだろう」
そうボヤいても後の祭り。大忙しで服や生活用品、パスポートや特務受任証明書、ベレッタやワイヤーやCAD、その他諸々の準備を整えて、気づけば朝。
慌てて母
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