暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
現れた悪意
[2/5]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
身を取るような余裕は与えられなかった。
草が生えるような地質とはいえ、システム的に破壊不可能に設定されている地形に背中から叩きつけられ、身体中から空気が引きずり出される。
込み上げた吐き気に抗わないでいると、予想外にも赤い色の塊が噴き出した。
「久し振りだね、レン君。……あれ?これを言うのは二度目だっけ」
のたうち回るレンに対し、得体のしれないナニカを内包した声がかけられた。
妙にくぐもっていて、とっさに男か女なのか分かりにくい中性的な響きだが、どこか陰々として鬱々としたものが感じられる不思議な声。
しかしその声は、少年の動きを全停止するほどの力を持っていた。
「――――フェイ、ばる……」
ゆらり、と。
視界を遮るものはあちこちから突き刺さったように生えている岩塊だけだというのに、まるでコマ落ちしたかのように一瞬にして現れたプレイヤーがいた。
黄色。
毒々しい黄。
それが視界に入った全てだった。
道化師
(
ピエロ
)
の笑いを張り付けるプレイヤーは、仮面の奥で毒々しい花のような嗤いを放った。
要注意
(
イエロー
)
ギルド【
尾を噛む蛇
(
ウロボロス
)
】リーダー、《背中刺す刃》フェイバル。かつて、あの鋼鉄の魔城で忌まわしいとされてきた三大ギルドの一角。その頂点に立っていた者。
「何で……ここに――――」
「いちゃ悪いかな?それとも私はそんなに君に嫌われるようなことをしたの?」
ぬかせ、と口の端を拭いながらゆっくりとレンは身体を起こした。
体の芯からごっそりと体力や集中力といったものが失われたのを自覚しながら、それでも少年はギシギシなる関節を真っ直ぐに伸ばす。
「お前の行動はいつもおかしい。まったく金なんて興味ないクセに
金に執着する人の集団
(
ウロボロス
)
を作ったり、勝てないと分かっている卿をわざと煽って怒らせたり……」
「くすくす。私が何か意味のある行動をしている……?それこそおかしなことを言うね。私はいつも、何も考えてなどいないよ」
嗤いを噛み殺すような、独特の静かな嗤い声が鳴り響く。
それに対して少年は僅かに黙った後、彼にしては極めて珍しい獰猛な笑みを返した。
「……嘘ばっかりだ」
「うん?」
「お前の言葉は、行動は、いつも嘘だらけだって言ったんだよ。ピエロはピエロらしく、観客を楽しませてりゃいいのにさ」
返答はなかった。
常時嗤いを浮かべているようなこの黄色マントにしては不気味すぎる静寂に気圧され、レンは思わず口をつぐむ、
やがて、妙な音がピエロの仮面の下から聞こえてくるようになった。初めは何かがこすれ合わさるようなものだったそれは、やがて――――
「嗚咽…………?」
そう呟いたのも束の間
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ