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リリカルってなんですか?
A's編
第三十三話 後(1)
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 リィンフォースさんがリィンフォースさんであるために? 意味が分からない僕は、もう一度彼女に問い返そうとしていたが、その前に再びリィンフォースさんが口を開いた。

「私は、魔導の器だ。呪われた魔導書と呼ばれたこともあったが、これから夜天の書であろうとも、また再び闇の書に戻ろうとも本質は常に変わらない。私は―――魔導の器だ。主を助けるために、主を幸せにすることを存在理由としている魔導の器だ」

「なら、ならっ! あなたは消えちゃいけないでしょう!? 最後まで抗うべきなんじゃないんですか?」

 リィンフォースさんが消えれば、きっとはやてちゃんだって傷つくはずだ、不幸になるはずだ。ならば、それはリィンフォースさんの魔導の器―――おそらくデバイス―――としての存在意義に反することになるのではないだろうか。

 だが、そんな僕の言葉を受けてリィンフォースさんは悲しそうに笑った。どうしようもないことを嘆くように、仕方ないと諦めるように。

「確かに、主はやては悲しむだろうな。――――だが、それ以上に、私は主を不幸にする」

「どういう意味ですか?」

 僕の問いにリィンフォースさんは少し言いづらそうにしながら、それでも少し逡巡して答えてくれた。

「私は闇の書として生きてきた。今、こうしてリィンフォースという新しい名をもらったとしても過去は変えられないのさ。ならば、主はやては、傍から見れば、一体誰の主になるだろうな?」

 ………その言葉で僕はリィンフォースさんが何を心配しているか理解した。理解してしまった。

「聡い少年のことだ。理解できたようだな。そうだ、今、このまま私と交わることがなければ、主はやてはただの被害者として社会から認識されるだろう。だが、仮にこのまま主であることを受け入れてしまえば、主はやては闇の書の主として認識されてしまう」

 そう、リィンフォースさんが例え新しい名前をもらって、防衛プログラムの影響がなくなったとしても、過去の被害者たちには関係ない。闇の書の過去を知っている人からしてみれば関係ないのだ。あるいは、もしかしたら、それ以外の人からも関係ないかもしれない。

 ――――もしかしたら、また暴走するのではないか。

 そんな疑念を抱かれてしまえば、それは恐怖として人々の心の中に毒の様に浸透してしまう。そうなれば、主であるはやてちゃんを見る目は厳しい目になってしまうだろう。

「主はやては家族を大切に想われる方だ。おそらく、私のことも庇うだろう。私が心配しても大丈夫と答えるだろう。もしかしたら、私が原因で孤立してしまうかもしれない。それが、私は怖い。護るべきは私なのに、私が護られる。その原因はすべて私にある。そんな状況に耐えられるか? いや、耐えられない。魔導書の矜持として、主を不
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