A's編
第三十三話 中
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がばれているすずかちゃんも、しれっと次の約束を織り交ぜならがアリサちゃんに同意してきた。
もともと、僕としては彼女たちに事情を話すためにやってきたのだ。このクリスマスプレゼントはそもそも蛇足。ついでに過ぎない。いつ話しても大丈夫なのだ。だから、僕はたった二人の観客を前にして、朗々と物語を紡ぐことにした。このたった一年の間に起きた摩訶不思議な物語を。
「そうだね。始めようか。僕が魔法使いになった物語を」
すべての始まりは、三人で拾ったフェレット。そこから始まるジュエルシードを巡る冒険活劇。もちろん、僕がけがをしたことなどは伏せつつ、時空管理局の力となのはちゃんの魔法の力を借りて事件を解決したことを説明していく。そして、この冬から始まった事件、アリサちゃんたちに事情を話さなければならなくなった事情もある程度のことを話していく。
「―――というわけだよ」
すべてを語り終えたのは十分ぐらいだっただろう。この一年の、怒涛というには若干短く、しかしながら、僕―――蔵元翔太という人生を変えるには十分すぎる出来事をダイジェストで伝えるのはどうやら十分程度で十分だったらしい。
僕は語り終えて、二人の反応をうかがう。
すずかちゃんは少し信じられない物語を聞いたような、しかし、それでいてどこか納得したような、そうなんだ、と言いたげな表情をしていた。一方のアリサちゃんは、俯いており、表情がよく見えない。アリサちゃん、と声をかけようとしたその時、がばっ、と顔を上げ、同時に口を開いた。
「なんでよっ!」
「え?」
「なんで、あたしたちに話してくれなかったのよっ!」
―――すごく理不尽なことを言われているような気がするのは僕だけだろうか?
とは思ったが、すずかちゃんも呆然としているところを見るとどうやら僕だけではないらしい。
言い訳をさせてもらえば、そもそも魔法などを簡単に話すわけにはいかないし、この地球外のルールにのっとっているのだから話せるわけもない。だが、アリサちゃんの訴えはそれらとは関係ないように思えた。感情の発露、というべきだろうか。自分の中にある感情に従って声を出しているように思える。
そもそも、アリサちゃんは頭がいい。それは物事を理解できるといってもいい。つまり、僕の説明の中にあった時空管理局と魔法の関係もわかっているはずだ。
だが、それでも、なお彼女には言いたい、言わなければならないことがあったのだろう。
「あたしたち友達でしょう!? だったら、一緒に悩んでもいいじゃないっ! 危ないこともあったかもしれない。でも、それはショウだって一緒でしょう!? あたしは話してほしかった。友達だから、他の誰に秘密でも、あたしには―――あたしたちには」
それはあまり
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