A's編
第三十三話 中
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をシールドを張りながら進む。まるで車のフロントガラスに雪が当たるようにシールドに触れると雪が解けていく。幸いなことに空で交通事故はありえない。自由に飛べるというものである。ついでにシールドとなっている結界には認識祖語の魔法もかかっているため、ちょっと見られたぐらいでは特に問題はない。
さて、このままアリサちゃんとすずかちゃんの家に向かうのは問題があるかな。子どもが出歩くような時間でもないから、外に出るのは難しいだろうし。ならば、窓からこっそり連れ出すしかないかな、と思うのだけど、魔法を使った状態で迎えに行って、大声を出されないとも限らない。だったら、先に連絡しておく必要があるだろう。
僕はポケットから携帯を取り出すと、電話帳のクラスメイトのグループからアリサちゃんの名前を探し出し、通話ボタンを押す。
『ショウ!? ちょっと、あんた大丈夫なんでしょうね!?』
コール音は、二回か三回ぐらいの短い時間だったが、アリサちゃんも持っているのは携帯だ。僕の名前が表示されていたからだろう。つながると同時に少し携帯を耳から離さなければならないほどの大声が発せられた。ただ、声色から心配していることがありありとわかるあたりが感情豊かなアリサちゃんらしいな、と関心してしまう。同時に浮かんできたのは、本当に心配させてしまったな、という反省だ。
「心配させてごめんね、僕は大丈夫だから」
本当は闇の書に飲み込まれたり、日本を壊滅させかけた怪物と対峙したりしたが、すでに終わってしまったことだ、無用な心配をさせる必要はないだろう。
『はぁ〜、よかったわ』
今まで緊張していたのか、よほど心配していたのか、ようやく気が抜けたと言わんばかりに安堵の息を吐いていた。
『それで、ちゃんと説明してくれるんでしょうね』
「もちろんだよ」
このまま説明しなくてもいいのかな? と思ったのだが、そうは問屋が卸さないようだ。そもそも、きちんと説明はするつもりだったのだが。
『今から家に来られる? すずかも一緒にあんたからの連絡を待ってたんだから』
どうやら、あの空間から助けられた二人はそのままアリサちゃんの家で僕からの連絡を待っていたらしい。クリスマス・イヴなのに良かったのだろうか? と思ったのだが、よくよく考えたらアメリカなどの風習ではイヴというのはあまり関係ない。クリスマスを家族で過ごすことに意味があるのだから。イヴという習慣は日本特有と考えていいのだろう。
「大丈夫、もう今から向かっているから。そうだね、あと五分後ぐらいに着くかな」
普通に歩けば、もっと時間がかかるのだが、僕が通っているのは上空という信号も道路もない、僕だけの通り道。直線距離でちょっとした原付ぐらいの速度は出ているのだ。転移された場所
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