A's編
第三十三話 中
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に純な言葉だった。友達だから、友達だからこそ話せないこともある。だが、彼女の幼さはそれを感じ取れない。友達だから、何でも話し欲しい、共有してほしい。幼さゆえの理想と笑うべきか、あるいは、僕がそこまで彼女たちに信頼されていることを喜ぶべきか。
少なくとも前者ありえない。僕としても彼女たちは得難い友人なのだから。ならば、僕は喜ぶべきだ。ここまで信頼を寄せてくれている彼女に。そして、反省すべきだ。ここまで信頼を寄せてくれている彼女に話せなかったことを。
実際には僕が話すことはなかっただろう。どうしても、前世の記憶に引っ張られてしまうから。彼女たちへの態度は少なからず遠慮が出てしまう。年上ならではの傲慢さが出てしまう。ゆえに、反省すべきは彼女がここまで僕に信頼を寄せていることに気付かなかったことか。
「ごめんね。今度からは、君たちに相談するようにするから」
「………絶対よ」
今の顔を見られたくないのか、アリサちゃんはそっぽを向いて、少しの間を置き答える。それはどこか拗ねているような、でも、伝えたいことが伝わって嬉しいというような感情が入り混じったような複雑な声色だった。
「絶対だからね」
「うん」
次があるかどうかなんて、わからない。相談できるかもわからない。でも、彼女の―――その友達だと認めてくれ、僕を心配してくれている純な気持ちには応えたいと思う。応えなければならないと思ってしまう。
アリサちゃんからの念押しに対して素直に答えたことに、彼女は満足げにその日一番の笑みを浮かべるのだった。
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