A's編
第三十三話 中
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以前、時間つぶしのためにダウンロードしたゲームでもしようかと思ったのだが、そもそも、この場所に電波が届いているか疑問だ。そんなことを思いながら画面を見てみれば、案の定、電波は圏外であり、まったく入らない状態だ、これではゲームはできないな、と諦めかけたのだが、その代わりに目に入ってきたのは10件以上のメールだった。
いつの間に受信したんだろうか? と思ったが、闇の書を倒した直後に結界を解いた瞬間があった、その間に受信したのだろう。
さて、誰からかな? と思いながら受信先を見てみれば、その相手は主にアリサちゃんだった。主にと思ったのは、すずかちゃん相手のメールもあったからだ。もっとも、その割合は全体の八割がアリサちゃんで、残りがすずかちゃんという感じである。過去から順番に読んでいくのだが、アリサちゃんは最初に「さっきのは何よ! 連絡しなさい!」という感じで強気だったのだが、最後のほうは、「ちょっと、連絡しなさいよ」という感じでだんだん弱気になっていくのが少しだけ笑える。
もっとも、連絡しない―――連絡できなかった僕が悪いのだが。
一方で、すずかちゃんは、「先ほどの件で話できますか?」や「大丈夫ですか?」という感じのメールが大半で、アリサちゃんとは違って冷静という感じだった。ただ、それで二人の友達を想う心を疑ったりはしない。単純な気持ちの問題だろう。ただ、アリサちゃんの数分に一本のメールはどうかと思うが。
さて、どうしたものだろうか?
携帯で時間を確認してみれば、日が暮れている時間とはいえ、まだ寝るには早い時間。冬休みに入っているのだからなおのことだ。そのことを踏まえて考えれば、できればアリサちゃんとすずかちゃんに事情を話に行きたいところだ。ただでさえ、彼女たちには魔法を使うところを見られているのだから。
ここから僕が出るためには許可を得なければならない。ついでに、魔法のことを話すのにも許可が必要だろう。最初の4月のころも口止めはされていたのだから。もっとも、彼女たちが巻き込まれていることを考えれば、アリサちゃんたちはすでに被害者としての関係者といっても過言ではないので許可は出るものだと思う。
いろいろと可能性を考えてみたのだが、結局のところクロノさんに聞いてみなければ何もわからないということに行きつくのはそんなに長い時間ではなかった。与えられた一室から連絡できる電話のようなものの前に立つ。具体的な連絡方法はクロノさんから聞いている。アースラ全体は忙しそうだが、こればかりは後から確認するというわけにはいかないだろう。何より、待っているだけというのは意外とつらいのだから。
控室の通信機からあらかじめ使い方を教えてもらっていた方法でクロノさんへとコールする。
『どうかしたかい? 翔太君』
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