第八話
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ああそうか。口移しで血をくれたんだ。
「ごめん。世話をかけるね」
「まったく、……ありがたく思うがいい。あれは、わたしのファーストキスなんだから」
その言葉に俺は一瞬、動揺した。まあそりゃそうだ。目の前にいる少女は見た目は大人びていて綺麗だし、言葉使いは偉そうで上から目線だけど、小学校の4,5年生くらいにしか見えないもんな。
ファーストキスなんて言われたら何か意識してしまう。俺はペドフィリアじゃない。
「うん。それはごめんって言えばいいのかな? 」
「別にお礼とか謝罪とかを言われることじゃないわ……」
何故か怒ったように言う。
ヤレヤレ。
俺は辺りを見渡す。さっきまで戦っていた教室であることがわかる。窓ガラスが派手に割れ、夜気が入り込んできて少し寒い。
「あの時の教室の中なんだな、ここは」
誰へとも無く呟く。あれだけの騒ぎを起こして、よく誰も来なかったモンだ。
「仕方ないでしょう? わたしにお前を担いで安全な場所まで連れて行けっていうの? 」
「いやいや、そんなつもりで言ったんじゃないよ。こんなに派手にやったら誰かが見に来てもおかしくないからね。しかし、そんな場所でこんな時間まで……えっと何時だったかな」
今の時間が気になり、俺はポケットから携帯電話を取り出す。
取り出すとストラップに2つの人形が揺れている。たしかこいつらは如月と戦って爆発したはずじゃあ?
「治してみたの。うまく元通りになってるかしら」
「わざわざ治してくれたのか? ……でもどうして」
「そのぬいぐるみは、お前にとっては大事なものなんでしょう? それに、よくは解らないけど、その人形には相当に強い想いがこもっているから」
めんどくさそうに彼女は呟いた。
「確かにこれはもらい物で結構気に入ってたんだけど、想いがこもっているってどうして?」
「わたしは物に命を与えて【式鬼】として操る事ができる。物を運ばせたり、誰かを監視させたり、何かと戦わせたりと単純なことなら一通り命令できる。だけどあの戦いの中、あいつらではあのバケモノを斃せないと判断し自爆したのを覚えているか」
「もちろん。あれは君を護るため、一か八かの賭けにでたように見えたんだけど」
少女は、首を横に振る。
「わたしは自爆など命令していない。あいつらは自らの意志でそれを決断したのよ。そもそも式鬼に爆発する能力なんて無い」
「どうしてそんなことを? 」
「それがその人形の送り主の想いの強さだってこと。あいつらは勝ち目がないとわかった。それでもお前を護りたい。護らなければならないと思ったんでしょう。……だから自爆することを選択をしたのよ」
あの時、少女を見て微笑んだんじゃなく、本
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