暁 〜小説投稿サイト〜
鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
25.西が東で南が北で
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 今後ギルドの規模が大きくなるとギルドへの奉納金や食費などにかかる金額は増えていくため、ヘスティアなりに色々考えているのだ。この前「必勝」と書いたハチマキとソロバンを片手に家計簿の前で唸っているヘスティアを二人は目撃している。

「いい加減6階層の稼ぎじゃ満足できなくなって来たな……ステイタスも足りているのだし、そろそろもっと下まで行ってみるか!そうと決まれば受付嬢に相談だ!」
「そんなこと言って……先輩の場合、女の人と話したいだけなんじゃないですか?」
「そんなの当たり前だろう、何言ってるんだベルは?女性と関係のない所になど俺は行かんぞ?」
「きっぱり言い切った!?」

 この男、相変わらずこの手の話では真顔である。
 ちなみに、例の語尾がカタカナになる受付嬢はこの前の事件の時もリングアベルをお見舞しにやってきた。あの騒ぎで忙しい中で何食わぬ顔で有給を取った辺り、彼女も相当な盲目である。言うまでもなく現在は事実上仕事を放りだした報いとして事務仕事に忙殺されているらしい。

 彼女が抜けた分の仕事を任されたからと仕返しで自分の仕事を押し付けた、とエイナが豪語していたから間違いない。なお、その関係でエイナはリングアベルの担当を一時的に兼任している。

「では!麗しのエイナ嬢(※リングアベルより年上です)に会いにいくか!……ところでベル。お前は彼女をもうデートに誘ったのか?」
「ええ!?え、エイナさんをですかぁッ!?そりゃまぁお世話になってるし美人だしデートに誘えたらぶっちゃけ嬉しいですけど……僕みたいなルーキーにプライベートな時間を割いてくれますかね?」
「おいおい、彼女はそんな世間体で人を区別するような女性か?お前は自分に自信がないようだが、そういう発言は逆に女性を貶めることに繋がるぞ?男なら女性のために輝いて見せろォッ!!」
「はっ……!た、確かにそれこそ男の生き様!流石は先輩です!!」

 無駄に盛り上がる二人を見かけた冒険者たちは、「あいつら本当に仲がいいな……」と冷若呆れた目線を送っていた。今日も二人は平常運航である。



 = =



 ダンジョンからギルドへ、今日の冒険の報告がてら魔石とドロップアイテムの換金へ。
 おおよその冒険者が毎日のように行っているルーチンワークは、基本的に変化と言うものがない。

 毎日毎日、同じ場所を同じ目的で通って、変化が起きるのはそれからのことだ。前はリングアベルへのやっかみやベルを見る物珍しそうな目線があったが、今では仲良し二人組としてちょっとした人気者だ。二人とも名前にベルが入っているため、ベルコンビとかベル兄弟と揶揄されている。

 女たらしだがベルの面倒見がいいリングアベル。純真無垢でリングアベルといつも一緒にいるベル。
 まるで兄弟の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ