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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
25.西が東で南が北で
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行った!!」
「任せてください先輩!!」

 槍を片手にフロッグ・シューターの長い舌をいなすリングアベルの背中を守るように、ナイフを抜いて構える。今更コボルド程度に苦戦するほどヤワではない。もう狩り慣れすぎて的でしかない相手に向かって地面を滑るように駆け出した。

 ヘスティアから賜ったベル専用装備、ヘスティア・ナイフに斬れないものなどあんまりない。ましてこの前の事件でシルバーバックと一騎打ちしたベルにとっては、こんな敵はイージーにも程がある。
 そもそもこの階層で更に厄介なウォーシャドウでさえ、今ではベルの苦戦要員たりえない。
 襲いくる棍棒を余裕で躱してバックを取り、素早く首を狩った。

「……ふッ!!」
『グギャッ!?』

 魔物が魔石を残して消滅する。
 身体が思考に追従し、理想的な流れが実現する――「決まった」感覚に、思わずぐっと手を握りしめた。

「ふう……よぉし、今日も絶好調!」

 魔物との戦いは、より優位な位置から一撃で。一撃で駄目なら最低でも敵の反撃を受けるまでには確実に仕留める。そして仕留めたら素早く味方の下に戻って索敵。パーティでは互いの距離が離れれば離れるほど援護が難しくなるため、ベルとリングアベルは常に近めの距離にいる。
 これもダンジョンで培われた経験則に基づく戦法だ。
 反対側で戦っていたリングアベルもフロッグ・シューターの攻撃を掻い潜り、単眼を狙いすまして鋭い刺突を繰り出す。

「いい加減しつこいぞ、この変態カエルめッ!!」
『ゲゴォォォォッ!?』

 脳天を刃が刺し貫き、その場で倒れたフロッグ・シューターは絶命した。
 リーチの長さを活かし、なおかつ自慢の長い舌に槍を奪われないよう立ち回ったリングアベルの足さばきは如何にも戦い慣れており、こうして並ぶとなんだか長年のベテランっぽくて格好いいなぁ、とベルはちょっとだけ憧れに近づいた気がした。

「今日はこの辺にしておくか……ベル!魔石は?」
「回収しました!今日の晩御飯は何にしましょうか?」
「そうだな……今日の稼ぎが良かったら久しぶりに肉でも食べるか?女神もきっと喜ぶぞ!」
「どうでしょう?最近の神様は貯金に凝ってますから『偶にはじゃが丸くんでガマンするんだ!』とか言い出すかも……?」
「未だに貧乏癖が抜けないようだな………が、そんな女神の笑顔にために貢ぐのはやぶさかではないっ!お前はどうだ、ベルッ!!」
「全くもって同感ですッ!!」

 びしっ!と返答して無駄なキメ顔をする二人。見る人が見ればある種のダメ人間っぽい。
 冒険者一人分の稼ぎでは不安があるが、二人ならば効率が上がってちょっとくらいは資金に余裕が出来る。だが、増えた分のお金の使い道を贅沢に振っていてはいつまでもその場しのぎの生活を抜け出せない
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