第四十四話 胎動
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青白い炎だけが光源の、瘴気が漂う部屋。
その部屋には大量の魔物達が跪いていた。アームライオン、オークキング、メッサーラ、シールドヒッポ、煉獄鳥、ホークブリザード。
個々の力が強く、余程の力がなければ迂闊に手を出してはいけないと言われる程の強力なモンスター達が、部屋に設えてある玉座に腰掛けている×××の前にその頭を下げていた。
玉座の主である×××はワインを一口飲むと、目の前に跪いている己の従者を見た。
「決行日はいつになりそうだ?」
×××のその声に従者は震えながら、質問に答えた。
「それ自体はまだ未定ですが……、最低でも2週間後には決行できるかと」
「なるほどな」
従者の言葉に満足げな表情を浮かべると、×××はもう一口ワインを飲んだ。その青白い頬にほんのわずかに赤みがさす。
「それでグランバニア城の戦力として警戒が必要な奴らは?」
「一先ず新国王であるアベルに彼が仲間にしている魔物達。それとアベルの仲間だという少女ミレイ」
「ふむ。そして現在の王妃の容体は?」
「今の所は容体は安定しております」
「なるほどなるほど。では何かあったら再びここに来い、今はもう貴様に用はない」
羽虫でも払うかのように×××は従者に手を振った。
「はい、わかりました。それではまた……」
従者は深々と×××にお辞儀をすると闇の中を歩き去って行った。
従者が去ると、従者と入れ替わるように部屋の中に一人の人物が現れた。その人物は赤紫と黄色のローブを頭からすっぽりと被っており、蜘蛛のような青白い指は骸骨の意匠を施された巨大な鎌の柄を弄んでいた。
その人物の姿を目にした途端×××の目が大きく見開かれた。
「ゲマ様!」
「ほっほっほっ。首尾はどうでしょうか」
×××に、まるで茶飲み話でもするかのようにゲマと呼ばれた人物は笑いかけた。
「首尾は今の所順調です。内通者が後一つか二つかの情報を持って来ればすぐにでも襲撃を開始することができます」
「ほっほっほっ。それは頼もしいですね。それでは……そんなあなたに私からの贈り物です」
ゲマの片手から黒い光が溢れ出す。黒い光は部屋の中にある瘴気と結びつきより一層その輝きを強くすると、×××の躯に吸い込まれて行った。
「おおおお……!素晴らしい、力が昂ぶっているのを感じる……!ゲマ様ありがとうございます。しかしこれは一体……?」
「これは私の力の一部をあなたに分け与えたのですよ。あなたの躯は、その分け与えた私の力によって守られています。剣でも魔法でも、並大抵の攻撃ではそのバリアは突破できないでしょう」
ゲマがそう言うと、×××は自分の躯を眺め、その躯を黒い光を放つバリアが
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