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ViVid Record
第二話 Stヒルデ大図書館
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人、リオ・ウェズリーの比ではない。 知識と判断能力は同年代を見てもズバ抜けている。 下手をすれば記憶伝承のアドバンテージを持つボクやアインハルトにだって迫るレベルだ。
 過去に零した何気ない言葉だって、的確に掬い上げる。 ニコニコと満面の笑みを浮かべてこちらを見てるあたり、完全に書の魔法を狙って言っているのだろう。

 聖王家の魔法を網羅し、記録する魔導書型ストレージデバイスの魔法を。

「ねえ、コロナってなんで僕にだけ遠慮しないの。 ヴィヴィオとかアインハルトには謙虚な姿勢貫いてるでしょ」

「シルトさんがヴィヴィオにだけ敬語を使って特別扱いするのと変わりないです。 わたしにもああいうのしてくれたら、謙虚になるかもですね」

「これでよろしいでしょうか、コロナお嬢様」

「あっ予想以上にきもちわるい」

  抱き抱える腕を緩める。 コロナが落ちる。 床にぶつかる直前に魔力糸で吊るす。

「ごめんてがすべった」

「逃れられない証拠を作っておきながら嘘をつくその姿勢......もはや清々しいです」

「褒めないでよコロナ。 スーパーヨーヨーごっこをやり難くなるじゃないか」

「スーパーヨーヨー......わたし!? わたしにヨーヨー代わりになれと!?」

「まずコロナを簀巻き状態にします」

「ヘルプ! 助けてヴィヴィオぉ! あなたの部下がいじめてくるぅ!」

 裏声で陛下に助けを求める時点で本気ではないのは簡単に分かった。 楽しいやり取りだが、冗談はこのくらいにしてコロナを床に降ろす。 すると、楽しかったです、と言ってこちらに親指を立ててきた。 おふざけと分かっていたので返すように親指を立てると、嬉しそうに笑ってくれた。

「??っと、そうだ本を探さないと」

 コロナとのやり取りを楽しんで忘れかけていた。 本来ここに来た目的は実技試験に使う魔法の構築術式が記された本の探索だった。
 使い手の極端に少ない古代ベルカ系の本は奥へ奥へと追いやられる運命にある。 よって必要な場合は発掘しなければならない。 需要の無いものだとしても、自分の使う魔法を奥へ追いやられるのは何だか寂しい。 本棚に並ぶ埃を被った古代ベルカ系の本を見て、しんみりした気持ちになった。

 しばらく本棚を眺めていると、後ろからツンツンと指でつつかれた。 振り返ると本が一人でに歩いている......わけではなかった。 たぶん両腕一杯に本を抱えたコロナだろう。 フラフラ揺れるとはみ出る銀色の髪がその証拠だ。
 
「砲撃、空間攻撃、広域殲滅、次元跳躍、なんでもあります!」

「......僕、実技試験用の本を探してるなんて言ったっけ」

「違います?」

「いや、違わないけどさ......うん、ありがとう」


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