33部分:第三十三章
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第三十三章
「あの方がいなくなったということは」
二人はまだ絵の世界で宙に浮かんでいた。速水は沙耶香と向かい合って述べてきた。
「この絵の世界も終わりということですね」
「そうね。けれどこれでこの事件は終わったわ」
沙耶香はまだ黒い翼を生やしていた。その翼を背に言うのであった。
「何はともあれね」
「そうですか。それでは私達も」
「ええ」
赤い目と黄金色の目の力を放つ。その力を使って今絵の世界から出た。そこは先程までの美術館であり何の変哲もなかった。絵も彼等の戦いがあったとはとても思えず至って平穏なままであった。
まずは戦いが終わった。しかしそれで終わりではなかった。
「では帰りますか」
「ええ。けれどその前に」
「女の子達ですか」
「そうよ。彼女達よ」
何故かここで口元と目元に笑みを浮かべさせてきた。妖しい笑みであった。
「救い出してね」
「そうですね。しかしその笑みは」
「何かしら」
「まさか狙っておられるのですか?」
速水もまたすっと笑ってきた。そうして沙耶香に述べる。
「彼女達を」
「さて。どうかしら」
そこはあえて誤魔化してきた。思わせぶりな様子を変えずにだ。
「それはね」
「やれやれですね。その嗜好は」
「時間があればね」
そう返すがそれでも考えは変えない。
「楽しませてもらうわ」
「仕方ないですね。何はともあれこれで」
「ええ」
その言葉には素直に頷く。二人は並んで美術館を出る。そのまま美女達を保護して事件を全て解決したのであった。
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