3部分:第三章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
れぬ不安を感じているのは明らかであった。
「本当に」
「ええ。それでは今宵は」
沙耶香はまるで動じない様子で彼女に声をかけてきた。その手にはグラスがある。
「心ゆくまで」
「わかりました。それでは」
「はい」
こうして三人はその夜は美酒と美食を楽しむのであった。ひとしきり飲み終えてからロスアンヘルスは別れた。沙耶香と速水は二人でマドリードの夜の世界に出たのであった。スペインの暑い夜が彼等を包み込む。
「ところで」
沙耶香は速水に顔を向けて述べてきた。
「前から思っていたけれどその服で暑くないのかしら」
「それは私も思っていたことです」
速水も沙耶香に問う。
「魔術を使われていますね」
「ふふふ」
その問いに目を細めてみせる。妖しい光がその奥に輝く。
「貴方もね」
「私は違うのですよ」
しかし速水はそうでないと返す。沙耶香を見て笑いながら。
「心が冷たいもので」
「何が言いたいのかしら」
沙耶香も彼の言葉に思わせぶりに笑って返す。
「わからないわね」
「またそのようなことを」
沙耶香はあくまでとぼける。そう易々と応えるつもりはないようである。しかし速水もそんな彼女を見て笑うのであった。
「今宵はどうされるのですか?」
速水は沙耶香に問う。
「私はホテルに戻りますが。ホテルは取ってありますよね」
「いいえ」
笑ってそれを否定する、
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ