暁 〜小説投稿サイト〜
異界の王女と人狼の騎士
第七話
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
入らないことに気づいた。どうしても窓枠にかけた足を動かすことも、床で踏ん張ろうとした足も動かないんだ。
 同時に急に視界がグルグル回り始める。悪寒がし、体が震えるのを感じた。その感覚はどんどん強くなっていく。いつのまにか汗が全身にまとわりつく。
 
 俺の異変に気づいた奴は一気に俺との距離を開くべく逃走し、俺を振り返った。

 逃がすもんかと自分の体に鞭を入れようとするが、まったく反応しない。おまけに視界が端から黒くなっていき、その暗闇が次第に俺の視界を蝕んでいくんだ。

「シュウ、どうしたの! 」
 背後から少女の声が聞こえるけど、答えることができない。
 やがて立っていられなくなり、窓枠から足を踏み外す。慌てて窓枠にしがみついて転倒だけは防げた。

 なんだ……? どうしたっていうんだ、よ。

 狭まる視界の中で、奴が、口もないはずの奴が嗤ったように見えた。
 そして俺を勝ち誇ったように睨みつけながら地面に沈んでいく。そして完全に地面のなかに没した。

 逃げられた……。

 それで緊張の糸が切れたんだろう。
 少女が俺に何かを話しかけてくるのが聞こえたけど、もう何も答える気がしなかったし、できなかった。体に力が入らないし、視界も真っ暗、音も聞こえない……。
 

 俺はブラックアウトした。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ