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ソードアート・オンラインー死神の鎮魂歌
プロローグ――ひねくれ剣士
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って肝心だよね……。

 ◆◆◆


 ソードアートオンライン。
 このゲーム開始からの最初の2カ月くらいは皆が慌てていたが今では大分落ち着いてきている。
 今、こうして上層に行くための迷宮攻略をサボって(強制)美少女とデート(連行)される程度の余裕はあると言えた。

 活気ある街に出た俺は未だラピスに引っ張られたまま「めんどくさいな」と思いつつすれ違う人を横目に連行されている最中である。

 第46層、ルーリア。これがこの街の名前だ。

 街は床が白色の石で作られており、中央には噴水がある大きな広場が有るという町になっている。今俺達がいるのはそこから歩いて3分ほどの距離がある場所だ。因みに俺の家は中央からやや離れた場所に有る。他に何か有るという訳でもないのだが、そこから見える景色が何となく好きでその家を買ったのだ。
 はてさて、いい加減目的地くらいは聞いておこうと声をかけた。

「いったいどこに行くんだ?」


 俺が聞きはしたものの、ラピスはただ笑うだけで俺の質問には答えない。その反応を見て俺は呆れ交じりにため息を吐いた。まったく、振り回される身にもなってほしい。

 俺は文句の一つでも言ってやろうと彼女の顔を覗いてみた。そこにはラピスの満面の笑みがあり、ひたすらにどこかに向かって楽しそうに走っている。

 いつだってそうだ。ラピスは人の言うことなど聞かずに自分勝手に突っ走る。

 目的が決まってるんだか決まって無いんだか俺には分からないが、いつも俺を取っ捕まえては振り回しているのだから迷惑きわまりない。出会った頃はこんな奴じゃ無かったんだけどなぁ。

 俺は少しの間ラピスの笑顔をじっと見ていた。チラリとこちらを覗いたラピスと目が合う。それはもう超が付くほどの満面の笑みだった。

 ま、楽しそうならそれでいいか。

 俺はまた呆れたようにため息を吐いた。

 そのまま暫く引っ張られているとラピスは唐突に立ち止まる。俺は転びそうな体を何とか立て直し、何事かと前を見てみる。そこでは、2人の男性がラピスに如何わしい視線を向けていた。
 一人は黒色の簡素な鎧をつけていて結構背が高い。
 もう一人はブルーのこれまた簡素な鎧を装備している。こいつはもう一人の奴より少し背が低く俺より数センチ高い位だ。
 背の高い方の男がラピスに詰め寄った。

「よぉねぇちゃん。そんなちんけな奴と遊ばないで俺と遊ばね?」

 男の言葉に思わず感嘆してしまった。今更そんな風にナンパする奴いないだろ。漫画とかドラマの見すぎかな?何にしても絶滅危惧種では無かろうか。
 ひとりごちていると取り巻きと覚しき男性も後を追うように口を開いた。

「そうするッスよ。ラドン様の言うことは聞いといた方がいいッス」


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