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ダンジョンに転生者が来るのは間違っているだろうか
出発と契約
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だ。……てことは、お前が俺の作品を買ってくれたっていう……」

「【バルドル・ファミリア】所属、スウィード・バルクマンです。どうぞ、こちらへお座りください」

元々狩人の俺には礼儀も何もあったものではなかったが、そこはパディさんに色々と教えてもらった。
俺の対応が丁寧だったことに少し驚いたのか、クロッゾさんは「あ、ああ」と緊張した面持ちで俺の正面に座った。

「あんまり緊張しなくても大丈夫ですよ、クロッゾさん。楽にしてください」

「わ、悪いな。こういうとこは慣れてなくてよ……あと、クロッゾさんは止めてくれ。ヴェルフでいい。敬語も止してくれると助かる」

「……分かった。正直、慣れてないから喋りづらかったからさ。助かるよ」

「俺もそっちの方がいいぜ」

そこで漸く落ち着いたのか、ヴェルフはニカッと笑った。まだ若干緊張気味だが、先程よりもぎこちなさは抜けている。

「それじゃ、早速用件を聞こう。今日は俺に用があって来たんだろ?」

その話に入ると、ヴェルフは「おう、それだそれ」と言って少しだけ身を乗り出す。

「聞けばお前さん、俺の名前だして武器を探したって聞いたんだが、それは合ってるんだよな?」

確か……出したな。
弓を探すときに店員さんに「ヴェルフ・クロッゾさんの弓ってありませんか?」と聞いたと思う。
そのことを店員さんから聞いたのだろう。
俺はヴェルフの問いに首肯した。

「嬉しかったぜ。冒険者の方から態々俺の作品を求めてくれたって聞いたときはよ。なんだ、こう、俺の作品を認めてくれたみたいでさ」

「そんな大袈裟な……」

「って思うだろ? ところが、そうじゃねえんだなこれが」

聞けば、ヴェルフさんのような下っ端の鍛冶師(スミス)は客を奪い合っているらしい。有名になれば誰も彼も寄ってくるが、無名だとそうはいかず、結局は未熟な冒険者がたまたま値段をみて買っていくというものなのだようだ。

「あんまりないんだよ。お前みたいに冒険者の方から俺みたいな下っ端の鍛冶師(スミス)の作品を求めてくれるのは」

鍛冶師(スミス)も大変なんですね……」

今まで、武器の製作者とか全く気にしたことがなかったけど、末端の鍛冶師(スミス)にとっては冒険者との繋がりはかなり重要なもののようだ。

「でも、ヴェルフくらいの腕なら、売れそうな気がするんだけど……」

「だろ! そうなんだよ。自分でいうのも何だが、いい作品は出しているつもり……なんだが、購入される手前で返却される。解せねえ」

話を聞くと、俺の買ったものを含めてまだ四つしか売れてないのだとか。
……名前が問題なのでは? と言うのは止めておこう。素人が口出ししても仕方ない。
かくいう俺も、帰っ
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