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ダンジョンに転生者が来るのは間違っているだろうか
出発と契約
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泣く子も黙る道化師(トリックスター)のエンブレムが刻まれた団旗、そして都市最大派閥の面々に周囲から注目と喧騒を集めて、出発の時を待っていた。

「おう、【剣姫】! 全くもって久しいな、壮健であったか?」

「椿さん……」

アイズがバベルを見上げていると、真横から声がかかる。
左眼を眼帯で覆う鍛冶師(スミス)、椿・コルブランドだ。

彼女は今回の遠征についてくる鍛冶の大手ブランド、【ヘファイストス・ファミリア】の団長でオラリオの中でも随一の腕を持つ最上級鍛冶師(マスター・スミス)。更にLv5ときたものだ。
東洋の人間を彷彿とさせる顔立ちの彼女は、実は極東出身のヒューマンと大陸のドワーフの間に生まれたハーフドワーフ。だが、ヒューマンの血を濃く受け継いでいるのか、手足はすらりと長く、身長も一七〇Cに届く。
島国独自の真っ赤な袴に、上は大陸式の戦闘服(バトル・ドレス)。正に和洋折衷といったところか。腰には得物である漆黒の鞘に収まった太刀が差されていた。

これで【ヘファイストス・ファミリア】も合流である。

「今日から、よろしくお願いします」

「うむ、任された。だが畏まる必要はないぞ? 手前(てまえ)も行きたいから付いていくのだ」

気さくな態度で理由を告げた椿は、からからと笑うと何かを発見したようだ。
「お」と言ってからアイズから視線を外すと、その男のもとへと向かった。

「いたな、ベート・ローガ。無理強いして滅茶苦茶な予定で銀靴(フロスヴィルト)を手前に作らせたのだ、また壊したら承知せんぞ」

「ほいほい壊すかよ、わかってるっての。それより、おいっ、近づくんじゃねえ!?」

怖いもの知らずの光景に周囲から畏怖が集まるなか、ふと、アイズに近づく影があった。

「やぁ、【剣姫】、調子はどうだ?」

「……ルルネ、さん?」

そらは【ヘルメス・ファミリア】所属の盗賊(シーフ)犬日と(シアンスロープ)のルルネ・ルーイ。
以前の食料庫(パントリー)の事件で知り合った冒険者だ。

「どうして、ここに……?」

「『遠征』の見送り、かな。お前には何度も助けられてるし」

これ、差し入れな、といって自身がよく使うという携行食の入った小袋を差し出すルルネ。
そして、その影で青水晶をアイズに手渡した。
アイズやルルネに度々接触してきた黒衣の人物からということらしい。

また今度酒を飲もうと約束し、その場を去るルルネ。

その他にも、よく利用する【ディアンケヒト・ファミリア】の治癒師(ヒーラー)である銀髪の人形のような少女が選別として高等精神力回復薬(ハイ・マジック・ポーション)高等回復薬(ハイ・ポーション)万能薬(エリクサー)を持ってきたり、
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