第二十一話
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り返しており、槍を杖代わりに身を委ねて汗を滴らせている。だけど、その体のどこにも傷は付いておらず、最終的に私はレイナに敵わなかったことを悟った。
「集中……切れた?」
「ちょっとだけ。まだいける」
「はは、それは結構だけど……、手元がお留守のようだけど?」
そう言えば、右手から鞘の質感と質量が消えていた。ぱくぱくと空中を掴む右手に釣られて周囲を見渡せば、レイナの足元に金属の輝きが零れ落ちていた。
そこでようやく、私は鞘を叩き落とされていたことに気づいた。
「あ……」
「全く……、ハァ、考え事しながら殴られ続けるこっちの身にも、なって欲しい、ねぇ」
模擬戦闘開始から何分ほど経ったか定かじゃないけど、私の息が上がり掛けてることから察するに、最低でも一時間程度の時は流れているようだった。よくもその長時間の戦闘に生身のレイナが耐えられたものだと思ったが、開始位置からほとんど動いていないから余計な体力を消費せずに戦っていたのだろう。そういう点においても、完全に私の一枚二枚上を行っていたのだ。
「ハハ、こんなに疲れたの久しぶりだよ……」
「……?」
その言い方にちょっと違和感を覚えたけど、一ヶ月くらい前のことを久しぶりと言ってもおかしくないかと思い腰を下ろす。
「それで……、これがあと何日……?」
「1、2、3……、あと四日かな」
「私がへばらない程度でお願いします……」
こうして、私の訓練一日目は終えたのだった。
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