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インフィニット・ストラトス if 織斑一夏が女だったら
第十話《努力せずに得た力》
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なんて解らない、大きいのか、小さいのか、目の前にあるのか、遠くにあるのかはよく解らないが。

確かにそれは突然、生まれた。

黒。白の世界にぽっかりと穴が開いたような黒。

俺と『私』は黒を見つめた。

黒は白を水滴が水に混ざるように染めていく。

黒がそれなりにおおきくなったところで、黒から。私が出てきた。

私が出てきてやっと、黒は俺達のすぐ近くにあったことに気づけた。

気づいたが、もう遅かった。

『私』が私によって黒に引き込まれた。

黒は『私』を飲み込んだ後、瞬時に消えた。

いや、消えたのは俺のほうだ。

空が見えた。青い、空が。

『私』の操縦権が俺にもどっていた。

*

ーー懐かしい。青ってこんなきれいだったのか・・・

俺は黒いISを纏っていた。その装甲は、まるで鎧のように体にまとわり、肩甲骨あたりから白く耀くエネルギー翼が生えている。

そう、生えている。俺から。

俺は、人間ではなくなっていると初めて実感した。

俺は久しぶりの陽光を浴び、すっかり暗くなっていた心も少し晴れた気がした。

一つ、大きく息を吐き、俺が今、どこにいるか確認した。

ーー天井が取れ、部屋が剥き出しになっている建物。辺りには瓦礫が飛び散り地面には穴がそこかしこに空いている。

・・・廃墟 と、一瞬俺の頭をよぎるがそんな考えはすぐになくなった。

俺の足元には、旗が落ちていた。

所々破れ、もう使い物にならないだろうそれには、確かに(えが)かれていた。

IS学園の校章が。

*

突然、いえ、さっきから目の前に存在していた黒に『私』は飲み込まれてしまいました。

なんたる不覚。『私』ともあろうものが俺君を盾にできなかったとは。

今度は白とうって変わって一面の黒。闇かもしれませんが、『私』と私だけが嫌にはっきりと見えているので、黒、ということにします。

でも、なんで突然黒くなってしまったのでせうか。

「最悪。もう。あなた。だけ。」私が片言で『私』に話しかけた。

この『私』が俺君の言っていた壊れた私でせうか。

危険・・・俺君はそう言いましたが、『私』は全然そんな気はしないのです。

だってこの私は、『私』を苦痛から救ってくれたのですから。

私の指先から、白が伸び、『私』の額に触れた。

「思い出して。知っていること。全部。」

私の指先から伸びた白が、徐々にうっすらと光をおび、『私』の額まで届きました。

届いた瞬間、『私』の脳に強い衝撃が加わりました。

フラッシュバック。私の記憶。蓋をした記憶。思い出さない方がいい記憶。

*

俺の足元に落ちたIS学園の校章旗。私はIS学園を襲っていた
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