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黒魔術師松本沙耶香  紫蝶篇
21部分:第二十一章
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を」
 ここで沙耶香はそのロザリオに光を当ててきた。すると銀のロザリオは金の三日月に変わったのであった。
「この世の摂理は儚く変わるもの。この月のように」
「手品かしら」
「いえ、魔術です」
 そう返す。
「貴女に捧げる魔術。そしてこれも」
 三日月から手を離すとそれはゆっくりと浮かび上がった。すぐに彼女の首にかけられたのであった。
「貴女に相応しいものを」
「私になのね」
「駄目ですか?」
「贈り物にしては。何か刺激的ね」
「刺激こそが貴女に相応しいのです。そう、愛には」
「では。何処で?」
「何処でもいいです」
 沙耶香は言う。
「何処でもなのね」
「二人きりで。いいですか?」
「柔らかなようで強引ね。何時の間にか貴女の中に引き込まれているわ」
「そうでしょうか」
 妖しい笑みを彼女に送ってとぼけてみせる。
「けれど。面白いわね」
「面白くはないのですよ」
 しかし沙耶香はそれは否定する。
「面白いものではなく」
「愉しいものなのね」
「そうです。ではこれから二人で」
 じっと目を覗き込む。そのまま琥珀の瞳の奥まで覗き込もうとしているかのようであった。
「宴へ」
「ええ」
 こうして沙耶香はこの美女を篭絡することに成功した。女同士ということを一旦は拒んでみせた彼女も沙耶香の言葉の前に陥落した。そして二人は豪奢なホテルのベッドの中で二人並んで寝ていたのであった。


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