暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第120話 朱い空の下で
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為、避ける事が出来ず……ただ、キリトの叩かれ、振られた頬を元に戻し、キリトの方を見た。

「……なんでだよ。なんでそんなに簡単に諦められるんだよ……」

 キリトは……再び身体を震わせながらそう言う。

「……お前は、お前はあの最後の戦いの時、システムに……この世界の絶対神に抗って、オレを助けてくれたじゃないか!何で、その時の様に、今も、今も!!最後の最後まで抗ってやろうってしないんだ!」

 次にキリトは、リュウキの胸倉を掴み上げた。そして感情のままに……怒鳴りつけた。
 キリトにとっても、失いたくない大切な親友だからだ。あの最後の言葉。初めて親友と呼んでくれた。自分もずっとそう思っていたんだ。

「きり……と?」

 リュウキは、目を見開いてキリトを真っ直ぐに見つめた。こんなキリトは、初めてだったから。

「……惚れたんなら、好きになったんだったら! 愛しているんだったら!! 他人に任せずにお前が支えろよ! お前がこれからも支え続けろよ! 最後の最後まで、最後の瞬間まで! ……抗って見せろよ! 彼女を泣かせるなってオレに言っておいて、お前がそんな情けない事をするなよ!」

 目を見開かせるキリト。
 その瞳は黄色、黄金色に染まっていた。最後まで言い終えたキリトは、その片目から涙が流れ落としていた。涙の粒は、硝子の床に落ちると、砕け散り……、宙を漂った。

「ッ…………」

 キリトに言われ……リュウキの目の色が徐々に変わっていく。何を言われているのかを、ゆっくりと、ゆっくりと、心の中で録音し、再生する。

「リュウキ……お前、悔しくないのか? オレにここまで言われて、ずっと前を走ってたお前が最後の最後で、オレに追い抜かれて、負けたままで!」

 キリトは、まだ泣き続けるレイナを見て、そしてリュウキを見た。リュウキの目の色は、さっきのまでの色じゃないのは、わかった。

「悔しかったら……何とかしてみろっ! 何とかしろよ!! 最後の最後でオレに負けてお前は平気なのかよ!!」

 そう言い切り、カッと開かれた目から、再び涙が雫となって飛び散った。
 それは、リュウキの顔にまで届き……伝って流れ落ちる。リュウキはその涙にそっと触れていた……。

「りゅうき……っ りゅうきくんっ……」

 レイナは……ただただ泣き続けた。
 リュウキの胸元に、しがみつき、決して離れようとしなかった。

 おそらく、レイナのこの手は自分を……。

 この世界が終わって皆が消えるその瞬間もきっと放さないだろう。

 リュウキは、そんなレイナを……今も止まることなく、ずっと涙を流し続けているレイナを見つめた。


――……悔いはなく、後悔だってない。……でも、レイナはずっと……ずっとこうやって泣き
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