暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第119話 光速の交響曲
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 この世界最大最速、連続27回に及ぶ剣撃。
 太陽のコロナを彷彿させる全方位への超高速の剣尖。だが、それは開発者である自分にとってもっとも愚かな技。出すモーションからその二刀の剣が狙う位置。そのスキルの速さ。全てを理解しているものからすればそれは、テレフォンパンチも同義。


―――だが、解せない。


 ヒースクリフは、その圧倒的な剣撃を軽く、半分ほど捌いた後考える。

(……致命的な隙を作るこの技をなぜ……?一度失敗しているはずなのに……?)

 そう考えていたのだ。
 それは、たとえ動物だったとしても、痛い目にあえば学習し、次からは考えるものなのだ。だが、キリトは愚かにも再び同じような事をしてくる。理屈では有り得ない。

「………」
「オオオオオオオオオオオオ!!!!」

 ヒースクリフは、攻撃を捌きながら、キリトの目を見る。……キリトの目は変わっていないと思えた。

 25?目、26?目……。

「……愚かな」

 ヒースクリフは心底ため息を吐く。
 自分が創造した世界で、そして自分が認めた能力を持ったプレイヤーの最後の末路。それを目の当たりにして落胆は隠せない様だ。いや……。

「……そうだ。……人間とはそう言うものだったな」

 (リュウキ)を失い正気じゃなくなった。そう考えるのが妥当だろう

 そして……
 ヒースクリフは、一切のミスを犯さず、最後の27撃目も捌ききる。

「これで本当に終わりだキリト君」

 ヒースクリフは、先ほどのように剣を高々と上げたりはしない。全力でその隙、モーション後の硬直時間を狙って剣を定めた。先ほどの様なイレギュラーが起こらないようにだ。

 だが……。

 ヒースクリフの身体に寒気が走った。
 それは、まるであの一撃を喰らう前に感じたモノと酷似している。あの……全て貫かれる一撃を喰らう前の。

「なっ……なに……?」

 そして、自分の目を疑った。目の前にいるのはキリト。ただ1人のはずなのだ。

 だが……

 この技の最後の一瞬……その刹那。
 キリトの背後に誰かがいるような気がした。はっきりと見えた訳ではない。それは、この世界ではありえない第六感の様に感じたのだ。キリトを支えるかのように立つその姿。……はっきりと見えたわけじゃないが、感じた。

 そして、キリトはヒースクリフとは対照的に笑みを浮かべていた。

 先ほどまで暴走していた男とは思えないほどの表情。
 其れと同時にキリトの側にいるものを、……彼を支えているものの姿も視認できた。



――……そう……この男は……。この男達は……。



「……元々冷静……だったのかキリト君……」

 ヒースクリフは、この一瞬で全てを
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