暁～小説投稿ｻｲﾄ～:ソードアート・オンライン～Another story～第119話光速の交響曲

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ソードアート・オンライン～Another story～

ＳＡＯ編
第119話光速の交響曲
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」

　確かにレイナは感じた。愛しい人の気配を。最愛の人の気配を。目で見えなくても、伝わってきた。それは、キリトの傍から感じる。

「そろそろ、決着をつけようキリト君。」

　ヒースクリフは再び剣を構えた。キリトは、……再び表情を黒く、染めた。

「望むところだ……！　今度こそ、ぶっ殺してやる！」

　再び狂気に満ちた表情をしていた。

「だめ……だめだよっ！　キリト君ッ！」

　まだ、暴走している……。そんな状態で、向かっていけば……また、いや今度こそ。アスナは心配でたまらなかった。でも、それでも身体を動かす事が出来ない自分が、憎かったし、悲しかった。何も出来ない自分が。

（ふむ……変わった様子は無い、先ほどの動きは……やはりバグの一種か……）

　ヒースクリフは、キリトの斬撃を捌きつつもそう思考する。考えていられるほど、まだまだ余裕があるのだ。キリトはそれほどまでに、単純な攻撃しかしてこない。

(だが…… 警戒する事に越した事は無い……か)

　ヒースクリフは、フェイントを多様した。
　多用しつつ、猛然と猪のように猪突猛進を繰り返してくるキリトの身体を斬りつけた。

　単調な攻撃であり、それは致命的な一撃ではないが、確実にキリトのHPゲージを減らして行く。自動回復(バトルフィーリング)でも間に合わない程度の速度で。
　
　そして、キリトのHPゲージがレッドゾーンの中で、更に削られた。

「く、くそぉぉ！！！」
「な、なんとかならねえのかよぉ！？　う、動け、動けよ！　クソ野郎が！！！」

　倒れ伏し、動けない男達も叫び声を上げる。ここまで共に戦ってきた仲間を、また失う。

リュウキに続いて、キリトも……！！

「こ、ここで、動けなくて、何が仲間だぁぁっ！！！」
「ぐぅぅぅおぁぁぁぁ！！　き、きりとぉぉおっ！！」

　2人の男達は、懸命に身体を起こそうとするが、システムの力の前にただ、屈する事しか出来なかった。だが、それでも決して目を逸す事はしない。……そして、諦める様な事もしない。
　最後のその瞬間まで、声を、出し続けてやる。彼らは、そう決意をしているのだ。

　そして、こちら側でも叫び声が立て続けに起こる。

「キリト君っっ！！」

　アスナも、半狂乱になりかねないほどに叫んでいた。キリトの命の灯火が、その命、HPがもう尽きてしまう、そう思ってしまって。

　そんなアスナの傍にいるレイナは、真逆だった。

「あ……あれ、は……まちがいない………」

　落ち着きを払っているレイナは、キリトを見て、確信した。

―――あそこには……戦ってるのはキリト君だけじゃない。

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