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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第118話 愛してくれて ありがとう
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を救ってくれた。絶望に沈みそうなとき、救ってくれた。

 アスナが最も愛する女性なら……リュウキは、大切な親友だった。

 たった、2年の事だったけれど、親友だったんだ。そんな……男が……。掛け替えのない親友が……。




「あんな事、言って……、情けないが……、勇者……お前だ。オレじゃない。………アスナのこと、レイナの事……皆のこと、頼んだ……」



 リュウキがそう言ったと殆ど同時に、彼の身体が輝き始めた。

 もう、《その時》が来たのだろうか。リュウキの体が青く鮮やかに光を放ち続ける。

 その最後の瞬間。彼は苦しそうな姿を、一切見せなかった。自分が消滅してしまう、現実世界でも死が待っている。普通であれば、発狂しかねない恐怖に見舞われるだろう。

 だけど、彼は最後の最後まで笑顔を絶やさなかった。

 誰もが振り返りそうになるような……、《白銀の勇者》に相応しい安心できる笑顔を残していた。


「やだっ……やだぁぁ……!いかないでぇぇぇ!!」


 レイナは、必死に手を伸ばした。

 麻痺で……動けない、視線くらいしか動かせれない筈なのだが、彼女は手を伸ばす事が出来ていた。

 そのシステムを本当に最後で打破したのだ。想いの力。誰かを想うその力は、時として大きな力をも凌駕する。

 それを見たヒースクリフは、そう感じていた。否……良い物を見れた程度にしか思っていないだろう。

 リュウキとレイナ、その2人を。その程度にしか考えていないだろう。

 そして……リュウキは、レイナの方を見て、最後の力を振り絞った。目の前に鮮やかな青色のそれが浮かび上がり、その時を悟ったから。


 最後に、笑顔の質を上げて、微笑んだ。


 いつもと変わらないその笑顔で。レイナを虜にしてしまったその笑顔で。一番レイナが大好きなその笑顔のまま。


 彼の身体は、鮮やかな硝子片へと姿を変えた。青ではなく、銀色に輝きを放ちながら。
 

 現実は残酷だった。レイナの、最後の最後でみせる事が出来た想い……、それは届く事は無かったのだから。

 

 彼は、白銀の勇者 リュウキは笑顔のまま、いつもと変わらないその笑顔のまま……、レイナを見つめて……リュウキの魂は四散した。









 誰もが言葉を失っていた中。
 そんな中で、あの男の声だけが低く響いてきた。

「ふむ……おかしいな。HPが尽きるのが遅すぎたな。あのダメージであれば、本来は10秒あれば、アバターは四散するはずなのだがな。まぁ、こんなこともあるのだろう」

 ヒースクリフは、両手を広げそう言っていた。……研究対象にしか見ていない。そう感じさせるのには、十分すぎる物言いだった
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