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バーサス〜PV200000突破記念短編〜
バーサス《上》
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…このッ……下ネタやめろよバカ姉貴……ッ!」
「へぇ、いつ何時俺が下ネタ発言したよ? ん? 言ってみ?」
「……この野郎……ッ!」
「いけないなぁ。俺は女だから『女郎』とか『アマ』とか言わなきゃ」
「……」

 もう怒りと呆れで物も言えない。セモンはぷるぷる震えながらニヤニヤ笑う姉を睨み付けるだけだった。
 そしてさらに追い打ちをかける様に一言。

「で、どうなんだい? 全く、新婚さんは大変だね、お盛んな事で」
「……そうだよ。ああそうだよこの馬鹿姉貴! 琥珀と一緒に居られる時間はお前のせいで限られてるんだぞ! 琥珀だって子ども欲しがってるのに、お前のせいで……ッ!」

 セモンの脳裏によみがえるのは毎晩の妻の姿だ。夜遅くに帰ってきた己を出迎え、『疲れたからもう寝る』と言われ、泣き笑いのような表情と共に『わかった』と答えるあの姿。言外に『今日もしてくれないの……?』と落胆しているその姿が、セモンには堪えられない。今すぐ抱きしめて押し倒したいくらいだ。だが時間がそれを許さない。一日は24時間だ。そして睡魔には勝てない。

 憎い。ほとんど疲労が溜まらないはずのこの《超人》の体に睡魔が溜まるほどの疲労を与える仕事ばっかり出してくる己の姉が憎い。

 ―― 嗚呼、《自在式(いのう)》で時間を延ばせればいいのに。というかそのためにあるんじゃないのかよこの力。使えねー……。

 もはやおかしな方向に思考が流れ始めている。融通の利かない能力を自分に与えたどこぞの白い少年神を心の中で呪いながら、セモンは姉を罵り続けた。

「大体なんだよ、給料外の仕事多すぎるだろ!」
「だから言ったじゃん、追加給料出すって」
「それ以前に未払いの給料を払え!」
「KO☆TO☆WA☆RA☆NU」
「いや素直に言えよ! そしてよっしゃぁッ!」

 これでもうちょっと生活がどうにかなる! とガッツポーズを決めながら、セモンはとりあえず座り直す。

「……で? 俺は何をするんだ?」
「お、やる気になってくれたのかい?」
「聞くだけだ」
「そりゃ嬉しい。
 まぁ、超ざっくり言えばテストだよ、《レプリカ》の」

 姉が口にした名前は、セモンにとっては懐かしく、忌々しく、それでいてどこか楽しい記憶を思い出させるものだった。

 《ジ・アリス・レプリカ》。それがその正式名称。
 世界を牛耳る神々が一角、最大級の規模を誇る超常の”レギオン”、《白亜宮》の長、《主》がこの世に落とした邪悪の種。もう十何年も前に起こった、意識不明事件に於いて鍵を握った特殊なVRゲーム。
 《ジ・アリス》と呼ばれたそれの『欠片』が、彼女の持つ《ジ・アリス・レプリカ》。

 まだ自分たちが19歳だったあの夏。《白亜宮》の侵蝕から世界を護る為に戦った、あ
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