暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第114話 仮想世界の本物
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振ってたほうがマシだ、と……。この世界では もう、それしか出来ないと思っておりました……いや、それ以外無い、と。少し自暴自棄になっていた所もあったかもしれませんなぁ……」

 ニシダは言葉を切る。……深い年輪の刻まれた顔に小さい笑みを浮かべる。
 言葉では現せる事が出来ない。SAOに囚われ、囚人になってしまったことで、この男が失った物は安易に想像出来るものじゃないと。

「……1人じゃない、とオレは思いますね」
「え……?」

 黙っていたリュウキだったが、ふと言葉が浮かんだ

「……仕事の難しさや、技術進歩の乗り遅れについては、オレも知っているつもりです。……だから、ニシダさんが言う意味も。でも、現実でもきっと、待ってくれている人はいる筈。……この世に生を受けて、1人ぼっちなんて事は無いんだから。オレはそれを、SAOで改めて学んだ、学ぶことが出来たんです。……皆のおかげで」

 リュウキはそう言うと、キリトを、アスナを、そして、レイナを見てそう言った。本当に自然と言葉が出てきたんだ……自然、偽りない自身の気持ちを。

「リュウキ君……」
「……」
「………」

 リュウキは続けた。

「オレも、この世界で 自棄になっていた事、あります。……それを救ってくれた人がいた。心に闇がまとわりついて、蹲っていた自分に、光をくれた人がいました。……現実でも、仮想世界でも得たもの、得られるものはきっと、沢山あるんだと強く思いました。だからきっと、この2年間は。オレの人生の中で、一番充実してる、そう思えます」

 その言葉を聞いて、3人も驚いた様な顔をしていたけれど、直ぐに綻んだ。……学んだのは、こちらも同じだと,そう答えていた。


 リュウキに続いて、アスナがゆっくりと前に出た。そして口を開いた。

「わたしは……、わたしは、半年くらい前まで、ニシダさんと同じ事を考えて、毎晩泣いてました。……妹のレイにはみせない様にしてたけどね」
「……バレてるよ、お姉ちゃん。私だって、同じ気持ちだったから」

 レイナを見てアスナは微笑みを浮かべる。そして、アスナはつづけた。

「少しでも強くなってゲームクリアをするしかない、私の、私達の現実が壊れてしまう前に。……でも、その気持ちが強く出すぎて……、最愛の妹を傷つけてしまったんです。この世界でただ1人の家族だった妹を、守るって決めてた家族を。……この世界に負ける事よりも。嫌だった。……1人になる事がとても辛かった。そんな私に、迷走をしていた私を立ち直らせてくれたのが、もう一度、レイと向き合える事が出来たのは。レイの最愛の人のおかげでした」

 アスナはリュウキの方を見た。リュウキもアスナのことを大切な人だと言っていたが、アスナにとってもリュウキは大切な人だったんだ
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