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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第112話 ユイの心
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す。それは、プログラムとして、矛盾している事だと思います。けれど、アスナさんがリュウキさんやレイナさんと、あの時救ってくれた心の持ち主に、お2人に出合わせてくれた時も。……私はAIだと言うのに、奇跡をみたと思いました。強く望んだ4人に、同時に、めぐり合うことができたのですから……。」
涙を流しながら、ユイは表情を俯かせた。
「私は、ただのプログラムの筈なのに……おかしいですよね。そんなこと、思えるはずが無いのに……。そんなことを思ったり、行動するルーチンなんて無いハズなのに……」
自らの気持ちが理解できない。本来は、決まった行動を取る筈の自分が……、自分のことが判らない。
そんな彼女を包むように、アスナが、レイナが、そしてキリトとリュウキが、彼女を囲う。決して1人じゃない。あの時、ユイに囁いた言葉。
それを体現するように。
「ユイちゃん……ユイちゃんは、ほんとうのAIなのね。本物の知性を持っているんだね……」
「な、なら、おかしくないっ! 自分の気持ちに素直になれるなんて、もう、そんなのただのプログラムなんかじゃないよ! ユイちゃんは、ユイちゃんなんだからっ!!」
アスナの囁き、そしてレイナの訴え、それを聞いたユイはわずかに首を傾けて答えた。
「……わたしには、判りません。判らないんです」
ただ、判らないと続けた。
そんな中で、キリトが一歩前に出た。
「ユイはもうシステムに操られるだけのプログラムじゃない。だから、自分の望みを言葉にできるはずだよ」
「っ……」
キリトの柔らかい口調は、ユイの身体の中に。確かにその奥にある、感じる光、心に響き渡っていた。
「……ユイ」
リュウキも、彼女の傍らに立つ。
「この世界で新たな生命が生まれる。……初めレイナと話してて、有り得ないと想った。……だけど、AIに自我が生まれる可能性だって0じゃない。……自分のあり方を理解した上でも、自分の気持ちが言えるなら。それはもう、キリトが言うようにただのプログラムじゃない。……ユイは、キリトとアスナの娘で、オレ達にとっては姪。そうだろう?」
キリトもリュウキも優しくも温かい言葉だった。これが、あの時心底欲したもの、なのだろうか。ユイは、言葉を詰まらせながらも、必死に手を伸ばした。
「わたし、わたしは……、ずっと、ずっと一緒にいたいです。……パパやママ、おにぃちゃんとおねぇちゃんと……」
この時、ユイは自らの気持ちに正直に話すことが出来た。そんな芸当は、プログラムではありえない。同じ行動を疑念を雑念を、何も感じずただ只管に続けるプログラムなんかじゃない。
正真正銘の完全な《A》rtificial 《I》ntelligence。
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