暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第112話 ユイの心
[10/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
す。それは、プログラムとして、矛盾している事だと思います。けれど、アスナさんがリュウキさんやレイナさんと、あの時救ってくれた心の持ち主に、お2人に出合わせてくれた時も。……私はAIだと言うのに、奇跡をみたと思いました。強く望んだ4人に、同時に、めぐり合うことができたのですから……。」

 涙を流しながら、ユイは表情を俯かせた。

「私は、ただのプログラムの筈なのに……おかしいですよね。そんなこと、思えるはずが無いのに……。そんなことを思ったり、行動するルーチンなんて無いハズなのに……」

 自らの気持ちが理解できない。本来は、決まった行動を取る筈の自分が……、自分のことが判らない。

 そんな彼女を包むように、アスナが、レイナが、そしてキリトとリュウキが、彼女を囲う。決して1人じゃない。あの時、ユイに囁いた言葉。
 それを体現するように。

「ユイちゃん……ユイちゃんは、ほんとうのAIなのね。本物の知性を持っているんだね……」
「な、なら、おかしくないっ! 自分の気持ちに素直になれるなんて、もう、そんなのただのプログラムなんかじゃないよ! ユイちゃんは、ユイちゃんなんだからっ!!」

 アスナの囁き、そしてレイナの訴え、それを聞いたユイはわずかに首を傾けて答えた。

「……わたしには、判りません。判らないんです」

 ただ、判らないと続けた。
 そんな中で、キリトが一歩前に出た。

「ユイはもうシステムに操られるだけのプログラムじゃない。だから、自分の望みを言葉にできるはずだよ」
「っ……」

 キリトの柔らかい口調は、ユイの身体の中に。確かにその奥にある、感じる光、心に響き渡っていた。

「……ユイ」

 リュウキも、彼女の傍らに立つ。

「この世界で新たな生命が生まれる。……初めレイナと話してて、有り得ないと想った。……だけど、AIに自我が生まれる可能性だって0じゃない。……自分のあり方を理解した上でも、自分の気持ちが言えるなら。それはもう、キリトが言うようにただのプログラムじゃない。……ユイは、キリトとアスナの娘で、オレ達にとっては姪。そうだろう?」

 キリトもリュウキも優しくも温かい言葉だった。これが、あの時心底欲したもの、なのだろうか。ユイは、言葉を詰まらせながらも、必死に手を伸ばした。

「わたし、わたしは……、ずっと、ずっと一緒にいたいです。……パパやママ、おにぃちゃんとおねぇちゃんと……」

 この時、ユイは自らの気持ちに正直に話すことが出来た。そんな芸当は、プログラムではありえない。同じ行動を疑念を雑念を、何も感じずただ只管に続けるプログラムなんかじゃない。

 正真正銘の完全な《A》rtificial 《I》ntelligence。

 人が使う自然言語の全
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ