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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第112話 ユイの心
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死に上体を起こそうとしながらキリトは叫んだ。
その声に連動しているかの様に、死神はその巨大な鎌を振りかぶっている。恐らくは、360度広範囲攻撃。あの凶暴な力に巻き込まれたら、ユイのHPは瞬く間に摘み取られてしまうだろう。
「ゆ、ユイちゃんっ……!? な、なんでっ! やめてっ……!!」
レイナも声にならなかったが、かろうじて振り絞るように掠れた声で叫ぶ。だが、ユイは、死神を見上げたまま、全く動かない。まるで、その攻撃を受け入れるかの様に。
「だめっ……! 逃げて、逃げて!! ユイちゃんっっ!!」
アスナもユイに向かって掠れた声で、声にならない声で必死に叫び続けた。
「よせ……、やめるんだ……っ ユイっ……!」
リュウキも、自分の剣で身体を支える様に上体をあげて、その少女を止めようとしたが……。
それは、一体何に対するもの、なのだろうか?
あの死神の前に立つなと言う意味だろうか?
……考えるまもなく、次の瞬間、更に信じられない様な事が起こった。
「だいじょうぶ、だよ……みんな。私はだいじょうぶ……」
その言葉と同時に、ユイの身体がふわりと宙に浮いたのだ。
それは、跳躍したのではなく、まるで無重力空間かの様……、いや まるでユイの背中に見えない翼が広がり、羽ばたかせた様にゆっくりと浮上すると、丁度死神と同じ目線で静止した。
ユイは、その小さな右手を死神に向けて構えた。
死神は、その小さな手を摘み取ろうと、鎌を振るう。
アスナも、レイナも、その瞬間を見る事は出来なかった。
あの自分たちを瞬く間に吹き飛ばした凄まじい轟音と閃光が迸ったからだ。だが……、その轟音の中に奇妙なエフェクトが現れた。いや、あれはエフェクトではなく、文字が浮かんでいる。
システムタグがユイの前に現れたのだ。
その内容は《Immortal Object》――……それは、プレイヤーが持つはずのない不死存在。
流石の死神も想定外だったのか、戸惑ったかの様に眼球をせわしなく動かしていた直後。ユイの右手から紅蓮の炎が生まれ、その炎は一瞬にして形を宿した。
巨大な炎の剣。
全てを焼き尽くすその炎は、まず死神の鎌をも炎によって滅ぼした。ユイが纏っていた厚手の冬服も燃え落ちる。……だが、初めてあった時に来ていたあの純白のワンピースだけは不思議と影響を受けていなかった。
それは出会った当初の姿のユイに戻ったかの様だった。
「……消えて」
武器を失った死神に、抗う術はもう何もない。
纏わせていた深淵の闇ですら、その火焔の前では無力であり、“ごうっ!”と言う轟音と共に、ユイの巨大な火焔剣が死神の頭蓋に直撃したのだ。
その瞬間
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