暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第112話 ユイの心
[12/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
葉を聴いて……ユイもゆっくりと頷いた。

「はい……。リュウキさんの言うとおりです。カーディナルが設置したあのモンスターをわたしが消し去りました。……ここに近づかせない為のモンスター。例え、プレイヤーを殺してでもと、設定されていましたから。……その行動を、そして、今までは放置されていたわたしに、カーディナルが注目してしまいました。壊れていること、カーディナルの意に背いたわたしを、異物だと結論されるのはもう、時間の問題なんです……」
「そ、そんな……」
「なんとか、なんとかならないのかよ!この場所から離れれば!カーディナルに従う必要なんかないじゃないか!!」
「ダメっ!ユイちゃんが異物なんて……っ!ユイちゃんは、よっぽど、……よっぽど人間らしい人間だよっ!!そんなユイちゃんが……ユイちゃんがっ……」

 ユイは、その言葉にただ黙って微笑むだけだった。もう、消えゆく自身を受け入れていると思えた。

「ありがとう。もう、これでお別れ……「まだだ、……諦めるな」っ……」

 言葉を遮るように、リュウキが声を上げた。ユイに最後まで言わせないように。

「……デジタルデータの世界。……なら、オレの土俵だろ。絶対に……ッ やってやる!」

 リュウキは、そうつぶやくと眼を見開いた。赤く染まる眼。システムの全てを見通し、理解する。極限まで集中し……コンソールの全てを丸裸にしたのだ。

「……間違いない。ユイが使ったGM権限はまだここに残っている。ここにアクセスしたままだ。……お前が消される前に、システムからかっ攫ってやる!」

 リュウキは、そう言うと、目の前の石を割る勢いで右の拳を叩きつけた。その瞬間、無数のホロキーボードが現れた。

「そ、そんなこと、出来るの?」
「……ああ、絶対にやってやる。だから皆は」

 リュウキは、キーボードを素早く叩き続けたまま伝える。

「……強く想うんだ。ユイと絶対に離れないと。絶対に渡さない、と!……この世界でオレは体感している。想いの力は、システムにだって、絶対の神の力にだって覆すことができる力になるって。……だからこそ、あの死神の一撃でもオレ達は死ななかったんだから」

 あの死神は、相手の強さを見て、自身の能力値を大幅に上げる。完全に圧倒できる能力値にしてから、プレイヤーを追い立てるのだ。その不自然とも思える変更を視たからこそ、数値が虚数に視えてしまったのだろう。……一撃で、消すことができるまでに、能力が上がっているのにも関わらず、皆が生きていた。データ上では、全損間違いない威力だったはずなのに。

 あの時、何があった?
 皆は、何を想った?

 それは……絶対に生きて帰ると言う想いがあったからだ。どんな状況でも、絶望せずに……強く想ったからだ。


「キリ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ