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黒魔術師松本沙耶香  紫蝶篇
11部分:第十一章
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きているわ」
 沙耶香は述べる。実際に彼女は朝はいつも決まった時間に起きている。違うのは横にいるのが男か女か、そして何処の誰かということだけである。
 だからこう言えるのだ。彼女はあまり眠らない女なのである。
「わかるでしょ」
「長いお付き合いですからね」
 速水はまた右目を細めて述べてきた。
「わかってはきました」
「それは光栄ね。それでね」
「はい」
 二人は言葉を続ける、並んで話をしている。マドリードは朝からかなり強い日差しで世界を照らしている。二人にはいささか場違いな程であったがそれでも彼女達は気にするところはない。
「今日はどうするのかしら」
「あの蝶ですね」
 速水は述べてきた。
「あれについて調べてみますか」
「蝶を」
「そうです」
 彼は沙耶香に答えてきた。
「今度のあの人が使う魔術がそれならば調べておく必要があるでしょう」
「確かに」
 その言葉に沙耶香も同意して頷いてきた。歩きながら話に入っていた。


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