自暴自棄になった男
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いたんだよ。奴らはレゾネクト諸共この世界から消え、人間に英雄として崇められたが……それから二十年も経たない内にアリアが現れて、この世界に残ってた悪魔狩りを始めた。結果、本当に人間を救った英雄の栄光を退けて「創造と救世の女神アリア様」が現在に伝わってる訳だ」
アリアが天上に属する女神なのは疑いようが無い事実だが、教会で見た創造神の教典は凄まじくバカバカしい虚飾と後付けの娯楽本だった。中には言葉の解釈一つで意味がひっくり返る物もあって、暇潰しには丁度良い程度に面白かったが……創造神とは、随分派手に祀り上げられたものだと感心する。
「アリアは創造神では無い、と?」
「ああ。俺は創造神を知らないからなんとも言えないが、英雄がレゾネクトを吹っ飛ばした辺りで、天上の神々はこの世界を手放してる。奴らの被害も相当だったからな。今も人間を見守ってんのはアリアだけだろうぜ」
クロスツェルの顔が強張った。少し前まで神父してたんだし、衝撃っちゃ衝撃か。
善行を積もうが悪行に走ろうが、褒められもしないし咎められもしない。常に何かにしがみ付いてないと自意識も保てない虚弱生物には、まぁ……苦痛かもな。
「オマケに、実在しない神とやらが大繁殖してるってのがまた笑える。大方、アリアの影響を好ましく思わない自己中心的な人間の権力者が広めた人心掌握の為の偽像、なんだろうが……神々が気付いたら怒り狂うぞ、あんなご都合主義」
神々による世界の終焉、か。それはそれで見てみたい気はする。
いや、巻き込まれるのは面倒だから、やっぱ要らねぇ。
「……アリアは……この世界に現存する唯一の神なのですね」
俯いたクロスツェルが、自身の顎に指を当てて眉を寄せる。
「アリアに遠慮するか? いや、アリアを信仰する者に、か」
アリアは、人間の心を支えられる唯一本物の道標たる者。
ロザリアをロザリアとして望むなら、女神アリアは否定するしかない。
女神アリアを自身の欲求だけで失わせて良いものか、とか考えてるんだろうな。くそ真面目に。
「……いえ。私はロザリアを選びました。自らの職務を投げ出して来た事に後悔はありません」
手を下ろして前を向くクロスツェルに、迷いは見えない。
「行きましょう、ベゼドラ」
今更アリアを信仰し直す気は無い、か。
信仰心で寿命を縮めたヤツとは思えない転身ぶりだ。
潔いんだかなんだか。
「ああ」
もっとも、途中でコイツの気が変わってアリア信仰に戻っても、可能性がある以上は無理矢理引き摺ってでも連れて行くがな。
最悪、道中で死体になったとしても。
人間との旅なんぞ、面倒なだけだ。
クロスツェルは弱ってるし、人間としての習慣にも付き合わなきゃならん。
鬱陶しい。煩わしい。面倒臭い。
だが、置い
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