1部分:第一章
[2/2]
[9]前 最初 [2]次話
べてきた。
「その通りです」
「わかりました。それでは」
「そうですね。御一緒させて下さい」
そう言うと沙耶香の向かい側の席に座ってボーイにメニューを注文した。そのうえで彼女と話をはじめる。
「お話は聞いておりますね」
「はい」
沙耶香はその言葉に応える。
「失踪事件ですね」
「そうです。妹がいなくなりました」
ロスアンヘルスはそう答えた。
「テレサが」
「またどうしてなのでしょうか」
沙耶香はそれに問う。その時ロスアンヘルスに生ハムとワインが運ばれてきた。彼女はそれを飲みながら沙耶香と話を再開させた。
「原因は一切不明です」
「ですから私を日本から御呼びしたのですね」
「そうなのです」
ロスアンヘルスはそう述べる。述べながらワインを飲む。その顔はお世辞にも明るいとは言えないものであった。
「御足労でしたでしょうか」
「いえ」
沙耶香はその言葉に首を横に振る。
「これも仕事ですので」
「左様ですか」
「はい。ですから御心配なく」
「そうですね」
ここで若い男の声がした。
「妹さんでしたよね」
「!?」
ロスアンヘルスはその声の方に顔をやる。沙耶香は見ない。そこには黒髪で顔の左半分を隠した青いスーツの男がいた。白いコートの裏地は赤でネクタイはスーツと同じ青だ。見ればアジア系の整った顔立ちをしている。陰のある印象の男であった。沙耶香は彼が誰であるのかよくわかっていた。
「貴方も呼ばれていたのね」
「はい」
その男速水丈太郎は沙耶香に答えた。答えると共ににこりと笑ってきた。
「はじめまして、ローラ=ロスアンヘルスさん」
速水はロスアンヘルスに声をかけてきた。
「速水です」
「ようこそ」
ロスアンヘルスは速水に応えてきた。
「貴方が速水さんでしたのね」
「はい、お待たせしました」
速水はコートの懐から一枚のカードを出して述べてきた。それは太陽のカードであった。タロットカードの大アルカナの一枚である。
[9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ