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黒魔術師松本沙耶香  紫蝶篇
1部分:第一章
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べてきた。
「その通りです」
「わかりました。それでは」
「そうですね。御一緒させて下さい」
 そう言うと沙耶香の向かい側の席に座ってボーイにメニューを注文した。そのうえで彼女と話をはじめる。
「お話は聞いておりますね」
「はい」
 沙耶香はその言葉に応える。
「失踪事件ですね」
「そうです。妹がいなくなりました」
 ロスアンヘルスはそう答えた。
「テレサが」
「またどうしてなのでしょうか」
 沙耶香はそれに問う。その時ロスアンヘルスに生ハムとワインが運ばれてきた。彼女はそれを飲みながら沙耶香と話を再開させた。
「原因は一切不明です」
「ですから私を日本から御呼びしたのですね」
「そうなのです」
 ロスアンヘルスはそう述べる。述べながらワインを飲む。その顔はお世辞にも明るいとは言えないものであった。
「御足労でしたでしょうか」
「いえ」
 沙耶香はその言葉に首を横に振る。
「これも仕事ですので」
「左様ですか」
「はい。ですから御心配なく」
「そうですね」
 ここで若い男の声がした。
「妹さんでしたよね」
「!?」
 ロスアンヘルスはその声の方に顔をやる。沙耶香は見ない。そこには黒髪で顔の左半分を隠した青いスーツの男がいた。白いコートの裏地は赤でネクタイはスーツと同じ青だ。見ればアジア系の整った顔立ちをしている。陰のある印象の男であった。沙耶香は彼が誰であるのかよくわかっていた。
「貴方も呼ばれていたのね」
「はい」
 その男速水丈太郎は沙耶香に答えた。答えると共ににこりと笑ってきた。
「はじめまして、ローラ=ロスアンヘルスさん」
 速水はロスアンヘルスに声をかけてきた。
「速水です」
「ようこそ」
 ロスアンヘルスは速水に応えてきた。
「貴方が速水さんでしたのね」
「はい、お待たせしました」
 速水はコートの懐から一枚のカードを出して述べてきた。それは太陽のカードであった。タロットカードの大アルカナの一枚である。


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