暁 〜小説投稿サイト〜
異界の王女と人狼の騎士
第四話
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
 俺の問いに答える事無く、少女は二個のぬいぐるみをそれぞれの手に握り口の側に持って行くと、目を閉じた。

 微かな光が両手から漏れてくる。青白い光だ。小さいキャンドルが灯ったようだ。
 少女は炎に向けてゆっくりと息を吹きかける。まるで火をおこすようにその呼気にあおられて炎まその勢いを増す。瞬く間に青白い炎はバレーボールくらいの大きさになり、辺りを白く照らす。

「行け! 」
 少女が両手を振り、炎が飛び出す。
 炎は二つに分かれ、炎をまといながら如月流星を囲むように移動した。二つの炎は次第に勢いを無くし、消え去る。そしてそこに2体の生物らしきものが現れている。

「まじかよ」
 俺は思わず叫ぶ。

 さっきまで携帯のストラップとしてぶら下がっていた2匹のポ○モンが戦闘態勢で如月に対峙していたんだから。

 一匹はハムスターみたいなぽっちゃりした体型で黄色い体毛、背中に茶色い縦縞。耳の先っぽだけ黒い。そして尻尾は誇らしげに天を貫くようなギザギザ稲妻型。
 もう一匹はほっそりとした体型の猫みたいな奴。白い体だけれどこいつも耳は黒。頭に小判みたいなのを載せてる。
 二匹のモンスターはお互い合図するでもなく、それでもピッタリと呼吸は合っているようだ。
ジリジリと如月との間隔をつめている。

「なめてんのか、チビちゃん。こんなおもちゃで僕をやっつけようとしてるの? ったく、ありえないよねえ」
 奴からはいつの間にか笑顔が消えていた。真剣になったのか、馬鹿にされたので本気で怒ったのか。どちらにしても良い状態ではないな。
 そんな奴をおちょくるように、二匹のモンスターはアニメでおなじみの声で威嚇している。

「さあ、奴を斃しなさい! 」
 少女が命令すると、二匹は攻撃態勢に入る。体から消えていた青白い炎が二匹の体から立ち上り、まるでオーラのように包み込んでいる。

 ハムスター型が体をプルプル震わせる。空気が焼けるような臭いが漂う。何かがはじける様な音も聞こえてくる。発信源はそのハムスターだ。電気を起こしているようだ。
 まるでアニメと同じように発光すると、可愛いうなり声をあげて飛びかかっていく。
 空中で体勢を整えると、全身から放電する。
 空気が引き裂かれるような雷鳴がとどろき、ほとんど目で追うことはできなかったがハムスターからら放たれた電撃は稲妻のように空気を切り裂き、如月の体を直撃したようだった。

「ほんげー」
 間抜けな悲鳴が響いた。それは如月が発したものだった。電撃が結構効いたようで、周囲に肉が焼ける臭いが漂う。
 ハムスターが着地すると同時に、反対方向にいた猫が二本足で立ち上がり両手のツメを鋭く立てているのが見えた。次の刹那、そいつは背後から如月に飛びかかり、そのツメで奴の背中を一直線に切り
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ