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異界の王女と人狼の騎士
第一話
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。それは猛烈な力で足を締め付けている。さらに何かが足に突き刺さるような痛みが走る。必死でほどこうとするが触手はぬるぬるしていてまともにつかめない。糞の猛烈な臭気で吐き気が増す。

「日向、逃げろ」 
 俺がそう言うか言わないかの瞬間、まるで何かにはねとばされるような衝撃を感じたと思うと次には壁に激しく叩き付けられていた。
 激しく背中を打ち、呼吸ができない。咳き込んだかと思うと、何かが胃の中から戻ってくる。……真っ赤な血だ。それでも俺は彼女の姿を求める。
 そこには寧々と如月が向き合っているのが見えた。彼の下半身は完全に着衣が吹き飛ばされていて尻から5本の触手がしっぽのように生えているように見えた。そしてそのうちの一本が誰かの足を持っている。

 足? ……誰の脚だ? ふと下を見た。

 俺の右足が太ももの中央くらいから消え失せ、ドロドロドクドクと血が流れていた。おまけに骨のようなものが肉の間からはみ出てるのをみつけて、完全に血の気が失せた。
 刹那、激痛が襲ってきた。
 くそ、気づかなければよかった。そう思っても、もう遅い。痛みとあり得ない出血で気が遠くなっていく。
 悲鳴を押さえるのが精一杯。

 ヒュン! 

 音がして何かが飛んできた。壁にぶつかり、ぐしゃりと音を立てて床に落ちる。
 それは千切れた俺の右足だった。 

 死……それが確実なものとして実感された。なんなんだよ、これ。あいつはただの転校生で虐められてて、少し可愛そうだと同情してただけの高校生だろう? 何だよ、あれ。人間じゃ無いじゃん。俺、足千切られちゃってこのままじゃ死ぬな。千切れたってことは多分足まともにくっつかないな。
 何か俺悪いことでもしたのかな。これって絶望なんだろうか。などなどいろいろなことを考えて極力現実から目を逸らそうとしてたんだ。

 唐突な悲鳴で俺はその悪夢から現実に引き戻された。
 声は寧々のものだった。

 ぼやけていく視野の向こうで、彼女は如月に蹂躙されているのがわかった。奴の尻から生えてきた触手の五本の触手の一本一本が彼女の手足を拘束し、そして宙づりにしていた。残された最後の一本がにゅるにゅると彼女の体を這い回り、おもむろに彼女の制服を一気に引きちぎった。
 全裸になった如月は俺に背を向け、尻から生えた触手が日向の体を持ち上げる。日向は悲鳴を上げ必死に体を捻って抵抗している。

「柊君、助けて」

 必死の叫びを聞き、俺は何とかして体を動かそうとするがまるで自分の体じゃないみたいにピクリとも動くことができなかった。
 如月は何かを確認しながら、持ち上げた彼女の体の位置をゆっくりと、そして少し下ろした。
 寧々が「嫌! 」と微かにうめく。
 お構いなしにゆっくりと腰をスライドさせ始めた。両手は彼女
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