暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第111話 死神の微笑みは別れの味
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係ない。今も視ている。……なのに、こいつは、こいつは……有り得ない
異常
(
アノマリー
)
だ」
「な……に?」
横目でキリトは、リュウキの表情を見た。その顔はかつてない程に、強ばっており……、そして震えてさえいる。
「コイツのデータが、今もたえず変化し続けている……、こんなの有り得ない。自由に能力値を変えてきているんだ。弱点から武器の耐久値、破壊力……全て……、今は虚数を示している」
「きょ、虚数って……!?」
有り得ない。と言った意味がわかる。
データとは通常数値の集まりであり、その大きさ、小ささによって全てを決めている。そのデジタル世界の建造物であったり、NPC。世界そのものもそうだ。全てが実数であり、虚数は有り得ない事なのだから。 ここに、存在している筈なのに……。
「時間を稼ぐのは、オレだ。キリト、お前は全力で最高速度でアスナとレイナをつれて安全エリアまで走れ!」
「馬鹿言うな!そんな相手を……!!」
「……《眼》を持つオレなら、何とか時間を稼げる!! 頼むから……頼むから行ってくれ!! っ!!」
リュウキは叫びながら、唯一の遠距離剣技である《クリティカル・ブレード》を牽制として放った。だが、その光をあの鎌の一薙で消し去る。まるで、風でも払うかのように、消し去ったのだ。
それは、リュウキが懇願する程の相手の力をまざまざと見せつけられた気分だった。
「行けぇぇ!!」
「リュウキ君っっ!!」
そう言うと同時に駆け出した。
死神の懐へと。
リュウキの光は闇を打ち払う事が出来るのか、あるいは死への旅時となるのか……。死神はただ、まるで微笑んでいるかの様な、無慈悲で不気味な笑みを放っていた。
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