第二話 たかが一杯。されど一杯。
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チノ「で、でしたら!体験という事でいいので今から入ってもらえませんか?」
チノの瞳には、憧れと尊敬の眼差し。
あれは、そう。まるで、年の離れた兄を見つめるかのような、そんな視線。
私個人としては、チノが感情を表に出すのは嬉しいのだが、それを是としない者が私の極身近なところにいた。
ココア「あ、味のことは、よく分からなくても、コーヒーへの熱意なら負けないよ!!」
リゼ「……お前の熱意は認めるが、多分それは粗熱の類だ」
にべもなくバッサリと私に切り捨てられたココアは、「ぱ、パン作りなら、負けないもん!」と、膝を抱えながら店の床に人差し指で「の」字を書いていた。
うん、今日もココアは平常運転だ。
と、律儀にツッコミを入れて続けてしまったが、最初の怒りを思い出し、すかさず私は彼ににじり寄る。
そして、軍隊仕込の抜身の刃物のような眼光を彼に容赦なく浴びせながら、彼を問い詰める。
リゼ「なんでお前がここにいる?」
雄二「香ばしいコーヒーの香りにつられて来た」
リゼ「嘘を吐け!私の後をつけてきたんだろ!?」
雄二「たまたまコーヒーの香りとリゼの行く先の出所が同じだっただけだ」
リゼ「こんの、屁理屈を……!!」
私の眼光などどこ吹く風、といった風体でチノのオリジナルブレンドをまたもやうまそうに啜る彼。
私は本気で殺意を覚え、コンバットナイフを収めてある懐に手を伸ばそうとしたところで、復活したココアがこちらに駆け寄よった。
ココア「なんか、リゼちゃんとすっごく仲がいいけど………二人はお知り合いなのかな?」
(仲がいい?どこをどう見たらそんな結論に至るんだココアよ……)
今日も発想が斜め上をゆく奴だ。先ほどのやり取りで仲良しとみなされるのであれば、猿と犬は超マブダチに分類されてしまうことだろう。
だが、私と彼が知り合い、というココアの発言に反応したのか、普段のおっとりとした動きなど、全く感じさせない機敏な動きでチノがこちらに距離を詰めてくる。
まるで、餌場を見つけたウサギか何かのような軽快さだ。
チノ「リゼさん。この方とお知り合いなのですか?」
チノが鼻息荒く私に質問する。
あ、えっと、と答えかねている私に、ココアがいらん考察力を発揮し、追撃をかけてくる。
ココア「制服とかも似てるし、同じ学校の人かな?」
(なんでそういうどうでもいい時だけ鋭いんだ。お前は!!)
チノ「ですが確か、リゼさんの学校は女子高だったはずですが?」
ココア「きっと新しい学園の用務員さんなんだよ!」
(用務員さんが生徒と同じ制服を着るって、一体どんな学習環境だよ……ってか、さっきの考察はまぐれなのか……ココア、恐ろしい子ッ)
チノ「
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