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ご注文は護衛ですか? 
第二話 たかが一杯。されど一杯。
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しまでされてしまった。
誰のせいで学園でスニークなどをしなければいけなくなってしまったと思っているのだろうか。
………………いや、そんな事理由は百も承知に違いない。
本当に、『イイ性格』をしている。
話を戻そう。
今現在の状況は、先生という学園の監視の目から解放された彼女たちは、己の信念が命じるがまま、彼の席をぐるりと隙間なく取り囲んでいる。
昼休みに、「形だけとはいえ、任務は任務だ」という言葉をもらってから、彼がぽろっと、とある秘密(、、、、、)を暴露するという最悪の事態は起きえない、という安心感が芽生えた。
(これで、私の平穏が脅かされる心配はなくなった。ああ、なくなったと思う。なくなってたら、いいな。うん…………なくなっていて欲しい……!!)
ほんの小さな、本当に小さな芽ではあるが。それも、風が吹いたら土ごと持っていかれるような。
先程、十人十色、という(ことわざ)を持ち出した。私の今の状態を色を表すとしたら、黒色が限りなく強いブルーになるのは間違いないであろう。
私は再び溜息を吐き、強制的に自分の心の整理をつける。


リゼ「……はあ。考えていても仕方ない。さっさとバイトに行こう」


と、その前に、『私はちょっと寄るところがある。お前は先に帰っていてくれ』と、メールを打つ。
彼の仕事用の携帯へと。
彼のブレザーの内ポケットが僅かに震えたことを確認した私は、教室を出た。
すると、暫くして私が校門をくぐるあたりで、


『了解した。後で合流する』


と、短く簡素な言葉がメールで送られてきた。
しかし、その内容は非情に簡潔でもあり、同時にひどく奇妙なものでもあった。


リゼ「合流するって……私、アイツに行先を漏らしたか?」


バイトをしていることは事前に伝えたが、場所は教えていない。
何故かといえば、彼にバイト先を伝える、という行為だが、私にはオートマチック拳銃で自身の額にピタリと密着させてロシアンルーレットをするがごとく、自身に災いをもたらす行為にしか思えなかったからだ。
だから、今回もバイトではなく、寄るところがあると嘘を吐いて脱走してきたのだ。
バイト先を教えるだけで何を大げさな、と呆れるかもしれない。だが、少し考えてみればわかることだ。
私のバイト先である喫茶店――ラビットハウスには、一人の同年代である従業員(まあ、一応一つ年下だが)がいる。
人懐っこく、栗色の髪に、ふんわりとしたボブカット。近くにいると陽だまりのような温かさを感じさせる少女。
その名を、保登 心愛(ほと ココア)という。
長々と描写したが、何を隠そう、それ(ココア)が答えだ。
些か乱暴な回答かもしれないが、彼女を長年連れ添った姉妹のようによく知る人物(本人は否定するだろうが)。マスタ
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