第二話 たかが一杯。されど一杯。
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などととぼけたことをのたまった。
(思わず謝ってしまったが、これは本当に私が悪いのだろうか?いや、流石にやり過ぎたと思うが……。いや、そもそもなんだが、きっかけを作ったのはコイツじゃなかったか?私が謝る必要あったのかこれ!?)
と、心の中で一人自問自答する。
だが、それを口に出すことは出来ず、他のメンバーも似たような状況なのか、誰も口を開かずに沈黙が訪れる。
一同『…………』
全員、口を糸で縫いつけられたかのように口を閉ざして絶句し、仲良くその場に立ち尽くした。
もしこの状況でお客さんが来ようものなら、間違いなく何も言わずに回れ右して帰っていくことだろう。
だがこの沈黙、誰が責めることが出来る?
目の前でもし、ナイフが食器で止められたら、流石に現役の格闘家でも驚く。
誰だって驚く。リゼも驚く。結果、みんな驚く。
だが、そんな何とも言えない微妙な静寂を破ったのは、以外にも、あの人だった。
???「何の騒ぎだい?」
店の奥から、黒のバーテンダースーツを着込んだ初老の男性がひょっこりと顔を出した。
若干色の抜けた髪に、浅く刻まれた皺。
この人こそが、cafe rabbit houseの現マスターであり、チノの親父さんでもある、香風 タカヒロさんだ。
この rabbit houseだが、昼は喫茶店、夜はバーという二つの顔を持つ。
そして、昼はタカヒロさんは厨房にいるか、夜の準備のために諸々のチェックを行っている。
大方、お客がいないので、チェックを始めようとフロアまで戻ってくると、いつもは騒がしいほどにぎやかなのに、今日に限って誰の話し声もしないので不審に思ってここまで来てくれたのだろう。
だが、この場に来て疑問を解決する腹づもりだったであろうに、この状況では何が何だか全く理解できず、謎は深まるばかりだろう。
そこで、
リゼ「あ、あの!これには事情があって……ありのまま、起きたことを説明するとですね?」
私は、私自身の非も認めたうえで、タカヒロさんに事情を説明した。
途中、というか彼がコーヒーカップでコンバットナイフを受け止めたあたりで眉をひそめたが、私が前置きで「ありのまま、起きたことを説明する」と述べてあったので、普段私がつまらない嘘を吐かいないという行いの良さが幸いし、何とか事情を理解してもらえることが出来た。
タカヒロ「なるほど、事情は分かったよ。で、リゼ君も、ええと、雄二君で良かったかな?」
雄二「はい」
タカヒロ「互いに非を認め、更に罪を償おうと申し出てもいる。どうだい?」
雄二「はい。その通りです」
タカヒロ「なるほど。リゼ君も、同じだと思っていいんだね?」
リゼ「は、はい」
一瞬、コイツと一緒にするな、
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