第二話 たかが一杯。されど一杯。
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な社交性の高い彼女たちよりも、さらに一枚上手の兵がいたようだ。
クラスメイトC「じゃあさ、都合のいい日を後で連絡してよ。これ、私の連絡先ね」
その提案に、クラスメイト全員が電流が走ったかのように硬直する。今まさに彼女たちの頭には、この言葉が浮かんでいるだろう。
((((その手があったか!!)))と。
硬直したのはほんの一瞬ので、その後、鞭を入れられたサラブレッドのように慌ただしく口を動かす。
ヌケガケハヒキョウヨ!
ソウヨソウヨ!
ジャアサ、イッソノコトゼンインブンワタセバイイノデハ?
ソレガイイワ!
ソウシマショウ!
と、これが放課後のチャイムが鳴ってから十秒後の現在の状況である。
女、三人寄れば姦しいとはよく言ったものだ、と思わずこの言葉を最初に言った古人に敬意を表してしまう図であった。
リゼ「はぁあああああぁああぁああ〜。やっと、終わったぁああああ〜」
そしてそんな中、ワイワイガヤガヤと盛り上がるクラスをわき目に、私 天々座 リゼは深い、非常にふかーーーい溜息を吐いた。
何やら彼の席(といっても隣の席なのだが)で人だかりができている。
それでも、そこに割って入ってゆけるほど今の私には活力が残されてはいなかった。
今日だけ一日で、夜戦何日分の体力と精神力を浪費させられたことだろうか。
彼にひょんなことから抱き付いてしまったり、それを目撃された金髪ふんわりヘアーの後輩―――シャロにとんでもない誤解をさせたり。
購買でパンを買っていると「噂の子はどこ!?」と耳が早い先輩方に迫られたり、新聞部に「彼の外見についてのアンケートを行っているのですが?お時間よろしいですか?」と廊下で危うく部室まで強制連行されそうになったり。
ああ、ちなみに、アンケートの選択肢は、イケメンが、はたまた訳ありのイケメンか、というどこぞのスポーツ新聞社も真っ青の世論誘導アンケートであり、その他の項目は趣味や生年月日、果ては彼の使用している筆記用具まで調べ上げ、個人情報まで丸裸にしようという内容だったらしい。流石に昨今、週刊誌でもここまではやらない。
そのアンケートを蹴ったことと関係性があるかはわからないが、何故か私は校内でお尋ねものとなり、突如親父に仕込まれたスニークスキルの実践を余儀なくされてしまうのであった。
挙句の果て、屋上で待っていた彼は大体事の成り行きを見ていたようで、
雄二「ローファーという非常に音の出やすい靴であそこまでのスニークをする技術は素晴らしいが、後方がかなりの頻度で疎かになっていたぞ。あれでは敵に後ろからザックリやってくれと喧伝して回るようなものだ。直ちに改善を提案する」
などと、冷静にダメ出
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