暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第108話 笑顔が一番
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どうかしたのか?」
「早くっ! こっちに来て!」

 アスナの声で、完全に意識を覚醒させたキリトは、ひょいと軽快に起き上がるとアスナが眠るベッドを覗き込んだ。……そして、なんでアスナが慌てているのか、直ぐにその訳が判るのだった。

「歌ってる……!?」
「う、うん……」

 アスナは、ゆっくりと眠る少女の身体を揺さぶった。
 昨日までは、何を言っても反応が無く、ただ眠り続けているだけだった。でも、今は 今だったら 連れ戻せるかもしれない。まるで、何かに憑かれている様に眠り続けるこの少女を。そう思ったからこそ、アスナは身体を揺さぶって。

「ね、起きて……。目を、覚まして」

 アスナの呼びかけに少女の口吟む、唇の動きがピタリと止まった。呼びかけに答える様に、やがて、長い睫毛がかすかに震える。そして、瞼がゆっくりと持ち上がった。そのあどけない黒い瞳が至近距離から真っ直ぐにアスナの目を見た。
 数度の瞬きが続いたあと、再び唇がほんのわずかだが再び開かれる。

「あ……うぅ……」

 眠れる姫君が目を覚ました。少女の声はごくふすの銀器を鳴らすような儚くも美しい響きだった。





〜湖畔のログハウス リュウキとレイナ宅〜


 その光りで満ちた世界の中で、レイナが初めに意識を覚醒させた。
 彼女は、元々起床設定をリュウキよりも5分程早く設定している筈なのだけど。銀の輝きを持つ鮮やかな髪を持つ男の子。……目の前で眠っていた愛する人も同じタイミングで意識を覚醒させた様だ。

 その時刻は7:50。
 
 設定時刻よりも早い。目を覚ました後、脳内にメロディーが響き渡る。心地よいクラシックの音楽が響き渡る。寝起きのメロディーとしては最適なものだ。

「おはよう、レイナ」
「……おはよう、リュウキ君」

 恐らく2人とも同じ気持ちだった様だ。昨日の少女の事を気にしていて……眠っている時もきっと気になっていたからこそ、意識を覚醒させた様だった。

 そして、2人はベッドからひょいと身体を起こす。

「ん〜……よしっ! 朝ごはんにするね? 食べたら……行こう!」
「ああ、そうだな。今日はもっとよく視てみるよ。……勿論、無理はしない範囲でな?」
「うんっ!よろしい! リュウキ君は、よく見ておかないと、すーぐ無理するからね? 無理はさせないよ?」

 レイナは、リュウキの『無理をしない』と言う言葉を聴いて腕を組んで頷いた。胸を張りながらまるでそれは宛ら教師のそれだった。リュウキはレイナの言葉を聞いて頭を掻きながら答える。

「んー……オレってそんなに無理してるか?」
「もっちろんっ! ……忘れたとは言わせないよ? BOSS攻略でもそうだし……、倒れちゃうまで頑張る所もそうなんだからね?
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