別離
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としてしてきた過去の行いを、はやてと共にケジメを付けられるように……。そうやって私達に選択を促してきたのは、お兄ちゃんだった。私達が私達の心のままに生きられる道を選べるようにしてくれた。
それなのに彼を倒すだなんて、そんな恩を仇で返すような真似は出来る訳が無い。だけど今の私達の立場が、それを受け入れてくれない。平穏な生活を営むために、これから悲劇に苛まれる多くの人を救うために、私達が選んだはずの道が今、どういう訳か彼と敵対する事を強いてきている。
…………ふざけるな。お兄ちゃんが私達を救ったのに、救われた私達がお兄ちゃんと敵対する? そんな理不尽、あっちゃいけないんだよ。お兄ちゃんは自分に何があろうと、選んだ道を進むように言ってくるかもしれない。でもね……望んだ道を進むには、その根本たる信念が存在していなければならない。信念が無ければ、進む力も湧き上がって来ない。見守ってくれるお兄ちゃんがいなければ、私達は望んだ道を進もうと思わなくなるんだ。
だから……。
「私は……戦えません。私達家族を救ってくれた人と戦いたくありません! 管理局が戦えと言って来ても、私にはどうしても出来ません……! 魔法を捨てろと言うなら捨てます、だから私にお兄ちゃんと戦わせないで下さい!!」
「私も……フェイトちゃんと同じや! 例え贖罪のためと言われても私達には絶対出来へん! サバタ兄ちゃんはずっと一人だった私に光を与えてくれた、愛を与えてくれた、幸せを与えてくれた、家族を与えてくれた。そんな大事な家族と戦える訳あらへんわ!!」
「私も……ジュエルシードの被害から守るために、戦う者としての心意気を自覚させてくれた。それに偶然が重なった事もあるんだと思うけど、私達の所にお父さんが帰って来れたのはサバタさんの力があったから。フェイトちゃんやはやてちゃんと同じように、サバタさんがいなければ家族を取り戻せなかった。私だって、あの人とは戦いたくないです」
私の意思表示に、はやてとなのはも続いてくれた。二人だけでなく、姉さんやヴォルケンリッターも同様のようで、無言ながらも頷いていた。だけど問題はある……なのはは別として、テスタロッサ家は母さんの事で、八神家は闇の書の事で贖罪をしなければならないのもあって、下手に命令拒否すればせっかくお兄ちゃんが作ってくれた立場が危うくなる。それにクロノとリンディさん達アースラクルーも正規の管理局員だから、立場上命令拒否はマズいらしい。
つまり今の私達は、彼が用意してくれた自由と彼自身の命を、管理局によって天秤にかけられている訳だ。どちらかしか選べないなんて……そんなの不条理過ぎる。だけど……お兄ちゃんとは戦わない、絶対に。例え再び自由を失おうと、お兄ちゃんを失うよりはきっと良い。そう思ったからこそ、私はこの道を選択し
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