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リリなのinボクらの太陽サーガ
別離
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Private Military Company、略してPMC。意味は民間軍事会社で、過去に存在した傭兵とは異なり、軍事をサービスとして提供する“企業”としての面が強い組織だ。管理局とは思想や理念が根本から異なるため、下手したら真っ向から対立しかねないが、そもそもこの地球は管理外世界。本来、彼らが介入できる場所では無い。そのため、連中から追われる身となった俺達が身を隠すには、まさに絶好の隠れ蓑である。

ウェアウルフ本社の近くまで行くと、誘導用ライトがヘリポートに照らされ、そこにラプラスを着陸させる。タッチダウンを確認してエンジンを止めてから降りた俺達は、リキッドの連絡を受けて待機していた女性に社内へと招かれた。

「お話は伺っております。こちらの部屋をご自由にお使いください」

案内を終えた事で彼女は本来の業務に戻るべく立ち去って行った。俺達は扉を開けて、高級マンションに近い様式の部屋へと足を踏み入れた。するとレヴィが部屋に置いてあったソファに頭からダイブして、はしゃぎ出した。

「わ〜い! ふっかふかだぁ〜♪」

『おぉ……ちょっと力を加えるだけで手が沈むよ。触ってるだけですっごく気持ち良いや』

「クッションも、とてももふもふしてる。しばらくこうしていたいかも……」

「とりあえず、ここが俺達がしばらく暮らす部屋だ。会社に住むというのは珍しい体験だが、住めば都、じきに慣れるだろう」

むしろ彼女達は慣れるどころか、もう思いっきり堪能している気がする。これが若さか……。

カーテンを開けると窓の向こうにはアメリカの大都市が広がり、海鳴市やミッドとはまた異なる文化の大地を目に出来る。だが、この光景が仮初めの平和である事を俺達はよく知っている。静寂の獣ファーヴニル、人形使いラタトスク、今この世界の外ではその二体の怪物が破壊の限りを尽くそうとしているのだから。もちろん、すぐにでも奴らを葬りたい気持ちはあるが、今の俺では全力を出せず、死力を尽くせない。それでは奴らを倒す事は出来ない、焦って向かう事はただの自殺行為なのだ。

「やれやれ、世の中はどこまでもままならんものだな……。……ん?」

リビングの片隅に目を向けた俺は、鞘に納められた二振りの刀が置かれているのを見つける。何故こんな所に刀が……?
近寄って手に取り、刃を抜いてみると刀身に青い稲妻が走る。これはかなりの業物を高周波ブレードに改造した見事な代物で、まさに戦うため、敵を倒すための武器であった。傍に置いてあった便箋を読むと、この刀はリキッドからの餞別で、銘を“民主刀”と“共和刀”と言い、元大統領が使っていたのを回収したモノらしい。元大統領の所有物という貴重な業物をどうして、と一瞬思ったが便箋の続きには、回収したはいいが誰も使わないから有効活用できそうな俺に託
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