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インフィニット・ストラトス if 織斑一夏が女だったら
第八話《織斑一夏という人格》
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「あの子達が殺されてもいいの?」

ーーもう。考えている時間はなかった。

俺は、コアを飲み込んだ。

熱いものがゆっくりと俺のなかを流れていく。

不思議と、懐かしいような感覚がした。

まるで、元から俺のなかにあったかのような・・・。

俺の意識がゆっくりと、遠くなっていった。





























線がきれかけ、絶えず蛍光灯が点滅する混凝土の部屋のなか、新しい汚れた制服を着た『私』が椅子に縛られていた。両腕を肘掛けに縛られ、足は混凝土の椅子の脚に縛られている。『私』と混凝土の柱しかない、嫌に湿気ったその部屋の中、蛍光灯と換気扇の音だけが響いている。

『私』の後肘部(こうちゅうぶ)にはいくつかの注射の後があった。

『私』は(こうべ)を垂れ、よだれをたらし、ずっとなにかを呟いている。

目にはもはや生気なんてない。

絶望。

ーーそれだけが俺のなかにあったのだろう。

『私』は、そんな私を見つめていた。

だんだんと壊れていく私を。

重い鉄の扉の音が混凝土の部屋に響く。

あぁ。まただ。また、私に・・・

豊かな金髪をしたスーツ姿の女性が、『私』に注射をしに来たのだ。

『私』はその人と同じ目線に降り、私を見つめた。

きたない。こんなの、『私』じゃない。

私はよだれをたらしながら笑い、呟く。

「おかあさん」

ふざけないで。この人はなんでもない、ただの狂人よ。

ーーあぁ。俺が最初に感じた恐怖は、このせいだったのか。

注射が『私』の後肘部に刺され、中に入っている銀色の液体が『私』の中を犯していく。

私は大声でよだれを、汗を。涙を撒き散らしおおきく笑った。

「もっと。もっ、と。もっとち、ょうだい。きらきら、なの。わ、たし、すきなの。なかに、はいっ、てくる。きもちいい。あたた、たたたたかいの。マ、マが、パパが、み、んな、が、あげる、なかった。あたたかい。ちょう、だい」

豊かな金髪の女性は、頬を赤らめ、悦に浸る。

きたない。『私』の体で変なこと言わないでよ。

ーーたしかに、こんな記憶。思い出したくないよな。

次第に『私』の体が痙攣を始めた。部屋にアンモニアの臭いが充満する。もう、私でも『私』の体に何が起きているのか、解っていないのだろう。『私』の体にいる私は、ただ痙攣しながら笑うだけだった。

いったい、どれ程の時間がたったのだろうか。織斑千冬が混凝土の壁を破壊し、織斑一夏を救出しに現れた。

換気扇が止まっていたため、部屋に充満した湿気が、アンモニアの臭いが一挙に外へ出る。

俺は、眩しく耀く『白騎士』に向けて
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