暁 〜小説投稿サイト〜
ダンジョンにSAO転生者の鍛冶師を求めるのは間違っているだろうか
少女、再登場
[1/3]
[8]
前話
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
ヘファイストス様がお帰りになってから適当に武器を七つ作って、箱にほうり込むと、既に時計は午後の六時を指していた。
一心不乱に打ち込んでいるわけではなかったが、鎚を振るいながら、これからどうしようかとか、アカギミナトのこととか、SAOのときのこととかに思いを巡らせていると、気付いたときには窓から差す陽光は消えて、代わりに部屋の中は炉の炎で真っ赤に染まっていた。
ずっと同じ姿勢でいたからか、
「うぅーーーーーーっ」
と、背伸びをすると、背骨から粉砕骨折したような音が爆ぜた。
それを聞いて、帰るか、と支度を始めた。
支度と言っても、炉の炎を消すだけ。
槌は目に付いたところに放り出したままだ。
外に出て、扉に鍵をかけて、俺は道すがら夕食を買って、宿への帰路に就いた。
◆ ◆ ◆
翌日。
いつも通りの時間に起きて、いつも通りに支度をすませて、俺は職場に出勤した。
が、いつも通りはそこまでだった。
「遅いのよっ。いつまで待たせるのよ!」
何故か工房の扉の前に例の少女がいた。
「お前が来るのが早過ぎるんだよ。俺はいつもこの時間に来てるんだよ」
「ああ、そう。いいこと聞いたわ」
「あっ」
しまった、と思ったけれど、まあ、口から出たことはもうなかったことにできないわけで、気にしないようにしよう。
「で、返事は?」
そそくさと扉の鍵を開けている俺の背中に少女が言う。
その声は何か確信のこもった声音だった。
何故かわからないけど。
「直接契約はしない」
その少女に簡潔に返事した。
「な、何でよっ!」
俺がまさか嫌だと言うとは思わなかったのか、驚愕の色を呈した声色で叫んだ。
「だって、したくないし、できるだけ」
「できるだけって。少しの同情心もないの、あんた?」
まるで人格を否定されているようだ。
ようだ、じゃないか。
否定されているのか。
とは言っても、
「同情心はあるけど、それはそれで、俺は俺だし」
「それはそれってっ!それにあれだけ渋っといて、できるだけなはずがないじゃない!」
「いや、できるだけ、だけど」
俺は地面を蹴り付けながら言う少女に言った。
本当にできるだけだ。
ただその『できるだけ』という基準がもしかしたら高いかもしれない。
「なら、何処までが、できるだけなのよっ」
「殺されるんだったらする」
「はっ?」
案の定、俺の基準を訊いて、口を開けたまま固まった。
「死ぬことだけは嫌だからな」
「いや、それは誰だってそうでしょっ!」
少女は固まっていたけれど、俺の言葉ではっとして叫んだ。
[8]
前話
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ