2部分:第二章
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ただ」
「ただ?」
「溺れてみるのもそれはそれでいいものよ」
「そうなの」
紫麗を見て笑う。その言葉のやり取りもまた楽しんでいた。
「それじゃあ一度。溺れてみるのも悪くはないかしら」
「よかったら手伝うわよ」
「ふふふ、今はいいわ」
だがそれは断るのだった。ワインをボトル一本空けたところでまた紫麗に声をかけてきた。
「それよりも。そろそろまた」
「溶け合うのね」
「ええ。どうかしら」
グラスを置く。そうして寝ている紫麗のうえに覆い被さってきた。そのまま彼女の唇を奪い唾液でつながったまま恍惚とした目でまた声をかけてきた。
「このまま」
「もう唇を奪ったのにそれはないのじゃなくて」
「あら、そう言う貴女こそ」
紫麗の目を見ていた。その目はやはり今を楽しんで笑っている。
「もうそんな手をして」
「気のせいよ」
だがそれは決して気のせいではなかった。紫麗の手は沙耶香の背中に回されていた。そうして彼女のその背をしきりに十本の指で愛撫しているのである。沙耶香もそれを感じながら彼女に問うているのである。
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