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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第102話 鉄拳正妻……?
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出した。大きな目から涙が溢れ……まるで宝石のように美しく輝きながら次々と滴り落ちていた。アスナは、クラディールの言葉を聞いていない。
そして、リュウキたちが来ている事も気づいていない。ただただ……、キリトを巻き込んでしまった事に心の底から後悔していたんだ。
前回も、今回も……2度も巻き込んでしまった事を。
そして、キリトはからからに渇いた喉でどうにか短い一言を音に変える。
「アスナ……」
「ごめんね……。わたし……わたし……も、もう……キリト君には……あ、あわな……」
漸く……感覚の戻ってきた身体をキリトは必死に起こした。
2度襲われた死の感覚。
1度目は自分自身の。2度目はアスナの。そこから生還できた安堵感は強烈なものだった。
そして……お互いが無事だった事が……嬉しくて……そして、自分はアスナを求めたくて……。確かに見える位置にはいないが、まだ傍でいるであろうリュウキやレイナがいるのも知っていても、それでもアスナを求めたかった。そしてキリトは右腕と、切断された左腕も伸ばして……アスナの身体を抱き寄せ、そのまま桜色の美しい唇を自分の唇で塞いだ。
「ッ………!」
アスナは突然の事だったから、咄嗟に両手でキリトを押しのけ様と抗ったが……、キリトのアスナを求める力は思いのほか強かった。
当然キリトのしている行為でハラスメント・コードは表示された。……が、アスナはそんな事はどうでも良かったんだ。悲しみに彩られ、そして 心に鈍い痛みを感じていたそれを、優しく包み込み、癒してくれた。
だから、アスナはそのまま、キリトを受け入れていた。
それは、とても長いキスだった。
時が止まって、永久に感じられる程に……。そして、キリトはアスナの唇から頬をなぞり……首筋に顔を埋め呟いた。
「オレの命は、君のものだ……。アスナ……、最後の瞬間まで一緒にいる」
3分間の部位欠損ステータスが課せられたままの左腕でいっそう強く背中を引き寄せると、アスナは震えると息を漏らし、囁き返した。
「……私も、私も絶対に君を守る。これからも、永遠に……守り続けるから……」
その先は……言葉にならなかった。2人とも固く抱き合ったまま。触れ合う全身から伝わるお互いの熱が、凍った体の芯を少しずつ溶かしていった。
2人から少し離れた場所でレイナとリュウキがいた。
互いに心底安堵していたんだ。この場所で起きた狂気、それを理解していたから。何故なら……この近くまで来た場所で、あの連中に出会ったから。
笑う棺桶
(
ラフィン・コフィン
)
に。
〜遡ること数分前〜
出会ったのは、渓谷ダンジョンを半分程進んだ先でだった。
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