暁 〜小説投稿サイト〜
黒魔術師松本沙耶香 毒婦篇
17部分:第十七章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話

 それはいいとした。どちらにしろ言わんとするところは同じだったからだ。だからそれには構うところがないのであった。
「どちらにしろ。術を使ってまでして」
「身体に毒を滲み込ませていったのね」
「おおよそは毒手と同じよ」
 一応はそう断る。断るがそれだけではないというのはもう言ってある。
「けれどあれは腕にだけ滲み込ませるものね。様々な毒草、毒のある生物から毒を採ってそれを腕に浸していく。そうして身に着けるもの」
「一度もこの目で見たことはないから確かなことは言えないけれど」
 沙耶香にしろ現実に毒手を見たことはない。そうした暗殺拳があることは聞いていて知ってはいるのだがそれ以上は知らないのである。それだけ珍しい拳法であるということだ。
「そうだとは聞いているわ」
「私はそれを応用して作られた女」
「普段から毒に身体を浸していたのね」
「そうよ、まずはね」
 そうであると答える。
「毒を少しずつ飲んでいき毒の風呂に身体を浸し」
「そうして毒の身体を作っていって」
「そこに術をかけて。さらに磨きをかけていったのよ」
 目を細める。語りながら笑っていた。
「それが私なのよ。今ではこの髪の毛一本で象を殺せるだけの毒があるわ」
「見事なものね」
「そうして私は職業凶手となった」
 つまりは刺客として育てられたのである。しかしそれだけでこの街に来て今に至るわけではないのはわかる。沙耶香はそこも聞くのであった。
「それだけではないわね」
「言ったわよね。術が使えるって」
「ええ」
 彼女の言葉に頷いてみせる。
「それも使って仕事をこなしていったのよ。けれど仕事をこなしていくうちに」
「刺客では飽き足らなくなったというわけね」
「話がわかるじゃない。そうよ」
 また沙耶香の言葉に笑う。これで話がおおよそまで見えてきた。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ